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「夫婦別姓」は“日本の伝統を破壊する”と怒る人たち、その致命的な「勘違い」

じつはそんなに歴史があるものじゃない
橋爪 大三郎 プロフィール

日本は珍しい

日本も伝統的に、氏(ファミリーネーム)にあたるものがなかった。いまの制度は、明治31年の民法でできた。夫婦同姓を法律で決めているが、こういう国はめずらしいのだ。

夫婦同姓は、明治のイエ制度の規定である。戦後民主主義と折り合いが悪い。女性たちは、この規定に苦しめられてきた。私の見聞きする範囲で、困った事例を紹介しよう。

女性の社会学者が、結婚する。たいてい姓が変わってしまう。すると、結婚前に書いた論文が誰のものか、わからなくなる。旧姓を知っているひとはいいが、そんなことは期待できない。大変な不利益だ。

では旧姓のまま、社会学者をやればいいか。それをやると、昔は意地悪された。国立大学では戸籍名を名乗ってください。でも私は、学会では旧姓で知られているんです。そんなこと知りません、規則は規則です。消耗な押し問答になった。

photo by iStock
 

それを避けようと、旧姓が必要になるとペーパー離婚する女性もいた。手続きがすんだら、また婚姻届けを出す。戸籍どおりです、文句ありますか。これを繰り返したので、外国に入国するのにトラブルになった。これは偽装結婚じゃないのか?

選択的夫婦別姓が認められれば、こうした問題は解決する。

仕事では通称(旧姓)で、戸籍は結婚後の姓。これで問題ない、とする女性も多い。けれども学者や事業主のように、本人の同一性が名前で確認できることが大事な場合、夫婦別姓の選択肢があることはとても大切だ。夫を愛していないわけでもないし、家族を大事にしないわけでもないのだ。

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