# ドラマ

大詰めで急速に支持を集める朝ドラ『おちょやん』、これまで過小評価されてきた理不尽なワケ

木村 隆志 プロフィール

想像を超える「まさか」で楽しませた

主人公の千代を取り囲む人々の人生もじっくり描かれてきた。

夫の一平と、その父・天海天海(茂山宗彦)、「岡安」の岡田シズと「福富」の富川菊(いしのようこ)、その子どもの岡田みつえ(東野絢香)と富川福助(井上拓哉)、須賀廼家千之助(星田英利)と須賀廼家万太郎(板尾創路)、弟・ヨシヲと松島寛治。これだけ多くの登場人物にスポットを当て、それぞれの目線から人生を描き、毎週見せ場のシーンが用意されてきた。

それに加えて八津弘幸の脚本は、視聴者の予想を超えた「まさか」でも楽しませている。たとえば、高城百合子(井川遥)と小暮真治(若葉竜也)の結婚、一平と灯子の不倫と妊娠、千代と栗子の同居など、視聴者に驚きを与え、話題性を生み出すものを織り交ぜていた。

近年の朝ドラはリアリティ度外視の急展開で話題を集めるような脚本が目立ち、そのたびに視聴者を困惑させていただけに、リアリティを損ねることなく大胆に物語をつむぐ『おちょやん』の巧みさを感じさせられる。

そもそも『おちょやん』は、幼くして母を失い、継母に家を追い出された千代が、「大阪のお母さん」と呼ばれるまでを描いた作品。また、父から虐げられ、弟とも離れ、夫からも裏切られるなど、大切な人との別れを繰り返す孤独な女性の物語にも見える。

 

だからこそ残り2週間は、千代が戦争で家族を亡くした人々を笑顔にさせるだけでなく、これまでの苦労や不幸を乗り越えた新たな人生が見られるのではないか。

ラジオドラマでの活躍はもちろん、新たな居場所を見つける喜びや、ネガティブなままの一平との関係性も含めて、最後の最後に千代の人生がポジティブに染まりそうなムードが漂いはじめている。放送を重ねるとともに千代への感情移入が進む視聴者にとってはたまらない2週間になりそうだ。

関連記事

Pick Up

編集部からのお知らせ!

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/