玉井選手の「土台」はどうやって作られたのか

玉井選手は3年前から私の父である馬淵崇英コーチに指導を受けている。崇英コーチは今回6度目のオリンピック出場となる寺内健選手を長年指導している。他にもこれまでにたくさんのオリンピアンを育てた名コーチだ。

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しかし実は、今の玉井選手の土台となっている人物はもう一人いる。それは崇英コーチの教え子である辰巳楓佳コーチだ。彼女は私と15年以上共に練習してきた。彼女もまた世界大会で結果を残す素晴らしい選手だったが、度重なる怪我で競技を引退。それからすぐに崇英コーチの元で指導者の道に進んだ。玉井選手は2年ほど辰巳コーチのもとで基礎を徹底的に学んだ。私はそれを間近で見ていたわけだが、とても厳しかった。しかし、玉井選手は厳しさの中にも愛があることに気づいていた。

「辰巳コーチは僕の原点です。教えてくださったことは基礎がメインなのでそこでできたことが今生かされています。辰巳コーチは厳しさがあっても納得させられるんです。怒られても共感とか理解ができるので、苦ではなかったです」

辰巳楓佳コーチ(写真右)と玉井選手 写真提供/辰巳楓佳

どのスポーツもそうだが、飛込競技は特に「基礎」が大事だ。手の使い方、足首の使い方、入水技術を初期の段階でしっかり身につけていることが、その後の競技人生を左右する。そして、2秒の間にどう動こうかゆっくり考えている暇はないので、頭より体が本能的に動かなければならないのだ。そういった意味でも、飛込競技のトップアスリートは基礎練習を怠ることはない。