2021年4月17日に予定されていた飛込ワールドカップの開催は、5月1日に延期となった。そこで特に注目を集めている選手の一人が、14歳の玉井陸斗選手だ。中学1年生のときにシニアの大会で優勝するも、年齢制限の壁に阻まれ、世界選手権には出場できなかった玉井選手。その彼が晴れて14歳となり五輪代表の座を目指すことができる大会となるのだ。

写真提供/JSS宝塚

しかし、玉井選手のご両親がアスリートだったわけではないという。どうやって彼は育ったのだろうか。自らも飛込日本代表であり、玉井選手と練習も共にしていた馬淵優佳さんが、母の目線も含めて玉井選手に率直な声を聞いた。

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敬語をきちんと使って話していた

玉井選手は競技以外の面でも真面目でしっかりしている。まだ小学3年生くらいだろうか。玉井選手のチームメイトが私に対して敬語を使わずに話す中で、玉井選手だけは私のことを「ゆかさん」と呼び、敬語を使っていた。

「学校ではさん付けをするように言われてたんです。お母さんにも色々教わったり、あとは合宿とかに行くと目上の人もいるので、礼儀とか常識を身につけました」(玉井選手・以下同)

物事を俯瞰して捉え、行動や言動を他人から学習し、自分のものにする。自分がどう見られ、どう行動すべきか、小学生の頃から観察力に長けていた。それも、小学生のころから、練習せずに遊んでる周りのこども達の隣で、飛込のイメージトレーニングをしていたことを考えると納得がいく。

玉井選手は同年代の選手よりも並外れた筋力と瞬発力、入水感覚を持っている。もちろん彼には、そういった天性の才能はあるが、それだけではない。玉井選手を取り囲む多くの大人たちがいたからここまで来られたのだろう。

「お父さんは少し抜けているところがあるので、自分がしっかりしないとなって。お父さんは欲しいものを全て買ってくれたり、僕は甘やかされて育っていると思います(笑)。お母さんは僕と性格がちょっと似ていて、節約家だったりとか、考えてお金を使います。例えばゲーム機とか。玉井家はお母さん以外、ゲームが好きなので、お父さんやお兄ちゃんがソフトをガンガン買ってしまうんです。僕はお母さんと考えていることが同じなので、そんなに買っちゃっていいのかなって思ったり」

玉井選手の真面目な性格は、しっかり者の母親に似ているそう。

「家ではお母さんが作る親子丼とか丼系が好きです。色々な本を読んで栄養管理してくれているみたいですけど、自分ではそんなわからないです(笑)。栄養素も考えてくれているようです」

育ち盛りの玉井選手。飛込選手にとって成長期ほど恐ろしい物はない。男子選手は女子選手ほどではないが、この時期にほとんどの選手が体重や体格による変化で「感覚」がガラリと変わる。そして「これまでできていたこと」ができなくなる苦労を味わう。この1年の体の変化に玉井選手がうまく対応できているのは、母親の影のサポートがあるからだろう。