「制服を盗め」「盗撮しろ」…性犯罪に加担させられる妻たちの「深すぎる苦悩」

阿部 恭子 プロフィール

犯罪者の夫を見捨てることができない

香菜と同じような経験をした女性は他にもいる。

看護師として病院で勤務していた美咲(30代)の夫・友則(30代)は、駅の階段で女性のスカートの中を盗撮し、二度逮捕されている。美咲と友則もインターネットで知り合い結婚した。友則が二度目に起こした事件は実名報道され、小さな町で事件の噂はすぐ広まり、美咲は職場に居づらくなり仕事を辞めた。

最初の事件の時、ふたりはまだ籍を入れておらず、ここで別れていたならば、美咲が失うものも少なかったと思うが、「見放してしまうのがかわいそうで……、犯罪者になってしまった彼を支えられるのは私しかいないという責任感もありました」。

友則は、最初の逮捕で会社をクビになり、その後の生活は美咲の収入に頼ることになった。

美咲は友則が女性のスカートの中やトイレを盗撮したようなポルノを好んで見ていることは知っていた。それでもセックスレスにはならず、結婚して子どもが産まれれば、態度を改めると信じていた。ところが、再就職もなかなか決まらない友則は、イライラすることが多くなり、美咲に八つ当たりすることが増えてきた。

 

「職場の更衣室で盗撮してくるように言われたことがありました……。他の人に見せるようなことは絶対しないからと」

友則は、拒否する美咲に腹を立て、それができないなら風俗に行く金をよこせと美咲に要求するようになった。美咲は、夫に再犯されては困るという恐怖から、言われた通りの金額を渡すようになった。美咲は次第に鬱病になり、家から出ることができない状態になると、友則から離婚を切り出され、離婚に至った。

美咲の父親はアルコール依存症で、家庭では妻子に暴力を振るっていた。美咲が高校生の頃、父親は飲酒運転で死亡事故を起こして死亡し、母親も自殺した。美咲に頼れる親族はなく、似たような境遇で育った友則といつのまにか依存した関係になってしまっていた。美咲が抱えてきた傷は深く、カウンセリングを続けている。

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