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東北新社とフジテレビの「放送法違反」をマスコミがまともに報じないウラ事情

情報元を考えると浮かび上がる

総務省の判断が分かれた理由

東北新社とフジテレビ。議決権の外資比率が5分の1を超えることを禁じた放送法に違反していた2社だが、監督官庁である総務省の裁定は、くっきりと分かれた。

東北新社がBSチャンネルの認定を一部取り消された一方で、フジテレビは厳重注意の上で、「お咎めなし」とされた。

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総務省の判断が分かれた理由は、端的に言えば「現行犯かどうか」ということだった。警察署の正面で、警官の見ている前で駐車違反をしたら反則切符が切られるが、かつての駐車違反については、遡求的に罰することはできない。そういう理屈だ。

体のいい「ダブルスタンダード」のようにも見えるが、この件で興味深いのは、東北新社の接待疑惑が発覚してからの一連の流れだ。

東北新社の件は、そもそも同社社員の菅義偉首相の長男らが、総務省官僚に対して行った接待が問題だった。これは、総務官僚たちが国家公務員倫理法に違反するということで減給や戒告の処分を受け、一件落着と相成った。

しかし、その過程で東北新社の外資規制違反もおまけのように発覚したので、認定取り消しも加わった。

騒ぎになったのは週刊誌の報道がきっかけだったが、「ネタ元」がどこだったかを推測すると、総務省サイドとしか思えないのだ。倫理法違反で処分された官僚は、谷脇康彦、吉田眞人両総務審議官を筆頭に、総務省内でいわゆる「改革派」と呼ばれていた人間たちだ。

携帯料金の値下げや、次世代の通信方式「6G」をめぐる国際競争力の向上などをぶち上げ、菅首相との距離は極めて近かった。

他方、電波をめぐる様々な「既得権益」を守りたい省内の守旧派からは煙たがられていたとも聞く。それは自民党内も同じことで、菅政権と反りが合わない勢力にとって、東北新社の案件は絶好の機会だった。

ただ、改革派官僚が倫理法違反で一掃されたのは好都合だったものの、東北新社の放送法違反問題が、世論の手前、認定の取り消しにまで発展したのは、想定外だったのだろう。

「同じ外資規制違反なら、ほかにも例がある」といういわば火消しのような形で、急遽フジテレビが取り上げられた。これは、総務官僚なら容易に入手可能な情報であるが、そのほかのところから出ることは考えにくい。

 

こうした外資規制違反の噂は、これまでにも何度も取りざたされてきたが、そのたびに総務省は否定したので、まともに報道されたことはなかったのだ。

そういう意味でも、総務官僚が今回意図的にリークした可能性が高いと筆者は考えている。つまり、東北新社にしろ、フジテレビにしろ、しょせんは総務官僚たちのコップの中の争いの結果としてやり玉に挙げられたにすぎない。

監督官庁の役人が、民間、しかも権力者の息子からやすやすと接待を受けていたのも恥ずかしい話だが、それを政争の具にして、自分たちの勢力を守ろうとするのもまた情けない。

そうして考えると、一連の騒動からはこの国の官僚たちの醜さばかりが浮かび上がってくる。

『週間現代』2021年4月24日号より

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