「パンデミックは必ず再発する」知の巨人が示す“アフターコロナ”の希望

疫病と人類知(8)
ニコラス・クリスタキス プロフィール

パンデミックは必ず再発する

呼吸器系のパンデミックは再発する。

上図は、過去300年の間にインフルエンザによって引き起こされたパンデミックに焦点を当てたものだ。パンデミックは数十年ごとに必ず現れる。とくに深刻な呼吸器系のパンデミックは、50年から100年ごとに発生している。新型コロナウイルスが最後のパンデミックになることはないだろう。

実際、わたしたちが新型コロナウイルス感染症の初期段階に対処していたときでも、2020年の夏に、中国で豚の定期調査中に新たなインフルエンザ病原体(深刻度は不明)が発見されたとの報告があった。現在進行中のコロナウイルスのパンデミックと時期を同じくして、まったく異なる病原体によるパンデミックに直面するような事態などは、考えただけでも恐ろしい。だが、脅威は常に存在する

新型コロナウイルスは苦悩をもたらす一方で、新たな可能性も示した。活動の休止は、きれいな空気と、気候変動の対処に必要とされる削減量(持続的な方法で、という意味だが)と同等の炭素排出量の削減をもたらした。団結してNPI(※1)を実施することで、集団的な意志の重要性を認識し、経済的不平等から人種的不公平、医療の不備に至るまで、この社会に長年存在する問題に取り組むための政治的行動のきっかけを作った

一瞬で巨額の資金を投入できる政府の力は、重要とみなす脅威に対処するために政府が擁する途方もない経済力を、目に見える形で証明した。パンデミックは、教訓となる実例のような役割を果たした。「ほらね? 何が可能かわかったでしょ?」と。

 
※1 NPI(nonpharmaceutical interventions)
感染症の流行に対抗するために、薬の代わりに、または薬に加えて用いられる、隔離などの非医薬品介入のこと。
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