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「パンデミックは必ず再発する」知の巨人が示す“アフターコロナ”の希望

疫病と人類知(8)
医師であり公衆衛生学の研究者であり、社会的つながりを解き明かしたネットワーク科学の先駆者である知の巨人、イェール大学ヒューマンネイチャー・ラボ所長ニコラス・クリスタキスによる疫病と”人類知”の攻防を描いた『疫病と人類知 新型コロナウイルスが私たちにもたらした深遠かつ永続的な影響』。
今、もっとも求められた世界的権威による最高の知見から、抜粋してお届けします。人類は数々の疫病と戦って歴史を紡いできた。わたしたちは「希望」を必ず見いだせる!>これまでの連載はこちら

何の準備もしないまま不意を突かれた

2015年、ビル・ゲイツはTEDで、「次のアウトブレイクが起きたら? わたしたちはまだ準備ができていない」と題した講演をし、パンデミックがもたらす深刻な脅威を指摘した。この講演の動画は3600万回以上視聴されている。

ビル・ゲイツ氏 Photo by GettyImages
 

その他政府機関と同様に、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は長年にわたりウェブサイトで情報を提供し、パンデミックの準備に関する何十もの報告書を発表してきた。アメリカには経験豊かな疫学者が数え切れないほどおり、多くの専門家が警鐘を鳴らしてきた。しかし、疫病は遠い集合的記憶のなかにしか存在せず、新型コロナウイルス級のパンデミックの個人的記憶をもつ人はほとんどいないため、こうした警告は蔑ろにされる傾向があった。そのうえ、すでに触れたように、感染症はきまって恐怖や否定のような感情の伝染を伴う。

そのため、わたしたちは感情的に、政治的に、そして現実的に、何の準備もしないまま不意を突かれた。PPEから検査、人工呼吸器に至るまで、命を救うために必要な装備さえ用意していなかった。だが何よりも、わたしたちが直面している脅威について、集団的な理解さえなかったのだ。

9.11の同時多発テロが、国家安全保障への高度な脅威についてわたしたちの目を開かせたように、大不況が金融制度の脆弱性に、そして21世紀に世界中で行われたポピュリストの指導者の選挙が、政治の過激主義の危険性についてわたしたちの目を開かせたように、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、公衆衛生の重要性にアメリカ人を目覚めさせた

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