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異国の地でも警察沙汰に...「ヤミ移植」患者遺族の悲痛な叫び

臓器売買とヤミ移植の実態・その4
臓器移植を受けたい患者たちにつけこんで、極めてグレーな海外での臓器移植の斡旋を行う組織がある。T大学ラグビー部のOコーチの「海外移植計画」にも斡旋組織が深く関与していたが、そんな怪しい斡旋組織を頼って昨年ブルガリアで移植手術を受けた患者2人は、死亡してしまった。ジャーナリストの高橋幸春氏が、「ヤミ移植」業者の実態に迫る。

第1回:苦しむ患者に忍び寄る、「ヤミ移植」斡旋業者の怪しい素顔を追って
第2回:ブルガリアでの臓器移植を斡旋した業者の、無責任と非情
第3回:臓器移植患者を置き去りに…斡旋組織のずさんな対応と言い分

「倅の頬はまだかすかに温かかった」

ブルガリアで肝臓移植を受けた患者は、死亡という最悪な事態を迎えた。今年1月26日、意識はまだあった。27日夜中、喀血があり、輸血が始まっている。

「薬を投与しているが、薬に反応しないという医師からの説明があった」

28日午前8時30分、心停止。

L病院から通訳に患者の死が伝えられた。

父親は死に目に合えず(Photo by iStock)

42歳の若さで死亡した。ソフィアにあるL病院のICUに入ったまま、コロナの影響で面会は禁止、患者に同行した父親は死に目にも合わせてもらえなかった。

その日の午前10時30分頃、ホテルの部屋のドアがノックされた。父親がすぐにドアを開けた。通訳と迎えの車の運転手が立っていた。父親は反射的に聞いた。

「死んだのか……」

それまで何の連絡もなく突然通訳が訪ねてくることはなかった。

すぐに病院にかけつけた。ホテルから病院までは30分ほどかかる。

昨年12月3日に移植手術を受け、面会は12月13日と12月26日の2回だけだった。後はメールでやり取りをするだけ。1月中旬からはメールもこなくなっていた。

「倅の頬はまだかすかに温かかった」

 

警察での聴取

その翌日だった。患者の父親はブルガリア警察に呼ばれて事情聴取を受けることになる。

「日本大使館の方から事情聴取に協力してもらえないかと言ってきた」

父親はそれを承諾した。

警察での聴取には刑事5人と在ブルガリア日本大使館の大使館員2人も立ち会った。

「警察に行って驚いたのは、写真を見せられたことだった」

写っていたのはL病院の院長、副院長、執刀医、看護師ら病院関係者。それだけではない。ドナーを調達したトルコ人ブローカーのH、父親を乗せてホテルから病院へ運んだ運転手まで顔写真が並べられた。

「7~8人の写真を見せられた」

父親は死んだ次男が、移植を望み、日本を離れブルガリアまでやってきた経緯を現地警察の刑事に証言している。

「写真を見ながら、手術について誰がどんな説明をしたのか、誰が執刀したのか、私が知っていることはすべてを話した」

聴取は4時間にも及ぶ。

父親は刑事から尋ねられた。

「裁判が開かれるようになったら、ブルガリアの法廷に出て証言する意志はありますか」

父親はかなり前から病院の内偵捜査が進んでいたと確信した。

何故、ブルガリア警察に日本人の肝臓移植患者が死亡したという情報が伝わったのか。

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