事前の情報提供はなかった
―ー発熱やそのほかの症状はありましたか。
「吐いたりはしなかったですが、食欲はありませんでした。発熱というほどでもありませんが、微熱は3日間、ずっと続きました」
―2回目の接種を受けてから丸1日経つ頃からキツイ症状が出るわけですね。医師である南渕先生は一般の人より、専門的な情報に触れやすいと思いますが、こうした強い副作用について、政府や自治体から事前の情報提供はありましたか。
「ありません。自治体を通して、約3割の人に発熱があるという程度の情報が伝えられていただけです。体調が悪いと感じたら躊躇なく休みを取るようにという情報も聞いていましたが、よくある一般論的な注意だと、みな受け止めていました。
倦怠感への注意もあったかもしれませんが、たとえあったとしても倦怠感という抽象的な表現では、だれも深刻に受け止めません。倦怠感なんて歳を取れば、だれでも毎日、感じているのですから」
ーー強い副作用は南淵先生だけでしたか。
「とにかく驚いたので、これは自分だけの特殊な事象だったのかどうか、興味を持ち、周囲の同僚や部下、比較的接種が早かった那覇の病院のスタッフに事情聴取してみました。するとほとんどの人が“きつかった”“病院を休んだ”“仕事にならなかった”と話していました。みんな、こんなきつい副作用が出ることは予想していなかったそうです」
ーー先生は60歳代ですよね。健康体ですか?
「実は不整脈の持病があります。昨年、名医のカテーテル治療を受けて、いまは収まっていますが、今回、“不整脈がまたぶり返すのでは”と不安で極力体を動かさないようにしていました。これからワクチン接種を受ける高齢者には持病がある人が少なくないでしょうから、強い症状が出たら不安に感じるかもしれません」