ピュアな光を集めて輝く「白」

東日本大震災の翌年、平成24年のお題は「岸」でした。雅子さまは、次の歌を詠まれています。

『春あさき林あゆめば仁田沼の岸辺に群れてみづばせう咲く』

東日本大震災による被害に心を痛められ、被災地の人々や福島県の美しい自然にも思いを馳せられてお詠みになられた歌です。

平成8年4月下旬、両陛下は福島県土湯温泉町をお訪ねになり、春浅い信夫路のハイキングコースを散策なさいました。水芭蕉が群生する仁田沼周辺は、七分咲きの見ごろを迎えており、その時の光景を思い出されたのでしょう。

水芭蕉の白い花には、「美しい思い出」「変わらぬ美しさ」という花言葉があります。ただ、花のように見える白い部分は、葉が変形した仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる部位で、本当の花は尾のように突き出た部分(肉穂花序)に多数密生しています。

1999年撮影 photo by gettyimages
-AD-

白は悲しみを洗い流す涙の象徴でもあります。悲しいとき、辛いときは、思いきり泣きましょう。なぜなら、泣くことは、強力な癒しになるからです。

平成23年に発表されたお誕生日に際してのご感想で、雅子さまは次のようにおっしゃっています。

「被災者の方々に直接お会いし、それぞれの方の様々な思いを伺う中で、この方々のお役に少しでも立てたらと思ったことや、厳しい状況にある被災地の方々から、逆に私の体調のことをお気遣いいただき有り難く感じたことなどが昨日のことのように思い出されます。」

雅子さまが水辺に咲き誇る清廉な水芭蕉の白を詠われたのは、苦しみや悲しみの最中にありながら、雅子さまを気遣う被災地の人々の心の美しさに心を動かされたからかもしれません。美しく純粋な白は、私たちを浄化し純化する強力なパワーを秘めています。白い光は闇を消し去り、人生の新しいページを開くことができるように働きかけてくれます。

2006年撮影 photo by gettyimages