「拡散」は最上級にキツい

Twitterでざっくりと事件の概要を知っていた息子に、改めてプリントアウトした文春オンラインの記事を渡して、SNSといじめについて話を聞きたいと伝えた。

「うわ、めっちゃ長い」とブツクサいいつつも、読み始めると徐々に真剣な表情になって、頭をガシガシかきながら時間をかけて熟読。その後、ため息をつくとこう言った。

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「ほかにも山ほど言いたいことはあるんだけどさ、やっぱヤバい自撮りが拡散ってきつすぎる……。この子が死にたくなった気持ち、わかる。自分だったらって思うと、何も言えない……ね」

そして「俺も最近は、本当に警戒してるけど……」と話し出したのは、いじめ被害未満ながら息子自身の被・拡散体験だった。

「中学に入りたてのころ、『俺、小学校んとき、気に入らねぇヤツを何人もいじめまくって追い出した(転校させた)んだぜ』って得意げに自慢して、マウント取ってくるヤバいヤツがいてさ。関わらないようにしようと思ってたけど、友達のひとりを一方的に気に入ったらしくて、俺たちの仲いいグループに、その子が強引に入ってきたんだ」

息子たち仲間はみんな内心では嫌だなと思っていたという。しかし、そのいじめっ子は体もでかいし喧嘩も強い。しかも、強気のグイグイ系だ。どちらかというと弱気でぼーっとしたタイプが多い息子たちは拒否するわけにもいかず、流れでしばらく一緒に遊んでいたのだという。そして、ある日のこと、誰かの家でゲームして遊んでるとき、盛り上がった流れで『ひとりずつ一発芸やろうぜ』ということになったらしい。

「俺、お調子者だからさ、ウケたいって思っちゃって、マジックでほっぺたに渦巻きと鼻の下に鼻水書いて、変顔をやったわけ。みんなに超ウケて、ゲラゲラ笑ってくれたから嬉しかったんだけど。でも、そいつがスマホで勝手にそんな俺の写真を撮ってて、画像に『A中の恥』とか書きこんで、知らないうちに別の男子グループのLINEに流してたんだ。

そのグループでウケたから調子に乗って、今度は女子たちのLINEにも流した。それを見たひとりの女子が『写真流れてきたけど、大丈夫?』って教えてくれて、拡散したのを初めて知ったんだ。そいつも最初はいじめってつもりはなく、たぶん『面白写真で笑いを取ろう』くらいの軽~い気持ちで流したんだとは思うけど……。でも、イマイチ好きじゃないヤツに勝手に自分の写真をディスり気味に拡散されて、かなり嫌な気分になった。

自分の写真を知らないところで拡散されるって、想像以上にダメージでかいよ。もしウケ狙いの変顔じゃなくて、素の顔した写真でも『これでもイケてるつもり』とか悪意のある言葉と一緒に拡散されたら、直接悪口言われる以上にキツいと思う。結局、その後すぐに、そいつ自身が不登校になっちゃったから、いじめとか揉め事にはならなかったけど、あんときはかなりへこんだ」(息子)

息子自身も経験していた、SNSでの後味が悪い体験。些細なことがいじめのスイッチを押してしまうこともある。photo/iStock