ついに元警官“有罪”…ジョージ・フロイドさん死亡事件と評決の「歴史的意義」

渡辺 由佳里 プロフィール

誤解を産みやすく、反感を覚える市民が多い「Defund the Police」というスローガンは賛同者を得るためには逆効果だったと筆者は思っている。警察の改革を妨げているのは、予算とかではなく「Blue Wall of Silence(沈黙の青い壁)」と呼ばれる警察における無言の掟だと思うからだ。

警察学校に入学した新入生は「これが君たちの新しい家族だ。我々は互いの味方になり、面倒をみる。仲間うちで逮捕しあったりはしない」「何があっても青(伝統的な警官の制服が青だったから)を支持する」と団結を叩き込まれる。それに背くと、たとえ正しいことをしても「裏切り者」として軽蔑される。徹底的に身内を守るのが良い警察官なのだ。

これまで警察官が武器を持っていない黒人の子供を殺しても罪に問われることはなかった。それどころか、起訴されることすらほとんどなかった。それはこの沈黙の青い壁のせいだ。

しかし、フロイドさん殺害事件はこれまでとは異なった。翌日には事件に関わった警官全員が解雇され、事件の4日後にはショーヴィンが逮捕された。

デレク・ショーヴィン被告〔PHOTO〕gettyimages

そして、裁判では警察関係者数人が、ショーヴィン被告を批判する証言をした。その中でも、ミネアポリス警察の臨時警察署長が「いったんフロイドさんが抵抗をやめたら、ことに彼が苦痛を覚えてそれを口にしたら、(膝で首を抑え込むこと)は止めるべきだった」とショーヴィンの行動が警察の方針に違反するものだと証言したのは衝撃的だった。

ショーヴィン被告に有罪評決が下ったのは歴史に残る出来事だったが、「沈黙の青い壁」が崩れたことも画期的だった。

これですべてが解決したわけではない。これからも不公平なことは起こり続けるだろう。だが、一歩でも前進したことは評価するべきだと思うのだ。この瞬間を可能にした2020年のブラックライブズマター運動と、「体系的人種差別は我が国の魂の汚点」と語ったバイデン大統領も――。

 
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