ついに元警官“有罪”…ジョージ・フロイドさん死亡事件と評決の「歴史的意義」

渡辺 由佳里 プロフィール

2020年のBLM運動がこれまでと違った理由

とはいえ、BLM運動は社会制度を変えるほどの盛り上がりには欠けていた。それを変えたのが、2020年5月に起こったフロイドさんの殺害事件だった。この事件の後にミネアポリスで起こった抗議デモは今までとは異なった。

その場のデモで終わらずに全米に飛び火し、新型コロナウイルスへの対応で疲弊している医療従事者も抗議運動に加わった。6月18日現在でも運動は収まらず、世界中で賛同のデモが起こるようになった。

〔PHOTO〕gettyimages
 

2020年の抗議運動がこれほど大きくなったのは、いくつもの条件が重なったからだろう。

ひとつは、目撃者による多数のビデオからフロイドが警官のショーヴィンによって冷酷に殺されたことが明らかだったことだ。もうひとつは、新型コロナのパンデミックだ。学校や職場が閉鎖されて自宅でリモートワークをする人がテレビやソーシャルメディアでニュースを追い、社会問題について考えるようになった。自宅にこもっていると、外に出かけ、リアルで人と触れ合う衝動が強くなる。それが抗議デモへの参加にもつながったのではないか。

逆効果だった「Defund the Police」

BLMの運動の盛り上がりと同時に知られるようになったのが「Defund the Police(警察の予算を打ち切れ)」というスローガンだ。警察そのものを解体するようなイメージがあるためにアメリカの分断をさらに深めることになったが、実際に警察の解体を支持するのは少数派だ。リベラル左派が要求しているのは警察への予算をカットしてそれをコミュニティー支援やソーシャルサービスに回すことだ。

しかし、保守や中道のみならず、民主党を支持する投票者にもDefund the Policeの発想に賛成する者はあまりいなかった。2020年の大統領選挙の時、民主党指名候補だったバイデンは「私は警察の予算カットには賛成しない」と自分の立場を表明したが、トランプ元大統領が「law and order(法と治安)」というスローガンで(黒人を殺害した警察官を含む)警察を全面的に支持したために「警察」はアメリカ人にとって政治的立場を試す「踏み絵」のような存在になってしまった。

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