2021.04.23

世界的知見による『新型コロナウイルス』に立ち向かうための心得

疫病と人類知(1)
ニコラス・クリスタキス プロフィール

ウイルス封じ込め対策は“やり過ぎ”…!?

だが、この猛襲のさなかでさえ、ウイルス封じ込め対策はやり過ぎだと多くの人が思っている。アメリカ人のなかには、こうした対応は度が過ぎていると思っている人もおり、これもまた、厳しい現実を受け入れることができないアメリカという国の現状を物語っている。しかし、この考えは2つの点で間違っていると思う。

Photo by GettyImages
 

第1に、ウイルスを抑えて死亡者をこの規模に留める“だけ”でも、21世紀の富とノウハウなどの並外れた力が必要となるのだ。2020年春のパンデミックの第1波に対処するために、遅ればせながら集めたリソースを活用できなかったならば、はるかに多くの、おそらくは100万人のアメリカ人が亡くなっていただろうと、多くの優秀な科学者たちは考えており、わたしもこの見解に同意する。

一部の人たちのように、このCOVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックを、その影響を軽減させようと尽力しないで(または尽力したとしても!)通常の季節性インフルエンザと同等にみなすならば、現実を読み誤る。

第2に、現代人がパンデミックの課す苦難に遭わずにすむと考えるならば、あるいは別の時代の人々が、わたしたちと同じおそれや孤独、分裂に、マスクや事業閉鎖を巡る同じような戦いに直面しなかったと考えるならば、友好と協力の呼びかけを経験しなかったと考えるならば、歴史を読み違えている。別の時代の人々も、わたしたちと同じことに直面し経験したのだ

2020年1月末、ウイルスが勢いを増しつつあったとき、イェール大学のわたしの研究グループでは、有能な若手科学者とスタッフの多くに、このウイルスに重点的に取り組んでもらうことにした。まず、中国の研究者と協力し、中国の数百万人の携帯電話のデータを用いて、2020年1月と2月のウイルスの伝播を追跡した研究を発表した。次に、ホンジュラスのコパンの隔絶された地域におけるウイルスの生態と影響についての研究計画を立てた。わたしたちはその地を長期間のフィールド研究の場として、176の村で暮らす3万人の住民と緊密な関係を築いていた。また、選挙や抗議活動などの大勢の集まりが、アメリカでのウイルスの伝播とどのように重なるかについても調査を開始した。

関連記事