提供:トヨタ自動車

世界的グローバル企業のトヨタ自動車で、幹部職として活躍する大塚友美さん。彼女の仕事への思いを、元フジテレビアナウンサーであり、3人の子を育てるワーキングマザーでもある中村仁美さんが聞きました。

車の免許は、内定が出てから
取りに行きました

〈左〉大塚友美(おおつか・ゆみ)
1992年トヨタ自動車入社。国内向け商品の企画、ダイバーシティプロジェクト等の人事施策、海外営業部門にて収益・人事管理、未来のモビリティのコンセプト企画、GAZOO Racing Company統括等を経験。途中、ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスにてMBA取得。2020年よりDeputy Chief Sustainability Officer(新設)としてサステナビリティへの取り組みを担当。

〈右〉中村仁美(なかむら・ひとみ)
2002年フジテレビに入社。2011年お笑いコンビ「さまぁ~ず」の大竹一樹さんと結婚。2017年に15年間勤務したフジテレビを退社。現在はテレビ・ラジオ・イベント出演など幅広く活動中。2019年厚生労働省より“上手な医療のかかり方”大使に任命。同年に第三子を出産、3児の母として子育てに奮闘する様子を綴ったFRaUwebの人気連載「騒がしくも愛おしい日々」を執筆。

中村 大塚さんはトヨタの事務系女性総合職の1期生だそうですね。そもそもなぜトヨタに入社しようと思ったのでしょう?

大塚 実は深く考えていなかったのですが(笑)、とにかくグローバルに活躍できる仕事がいいなと。早くに亡くなった父が商社マンで、憧れがあったんです。日本でグローバルに戦える仕事は何かと考えた時に、ものづくりだなと。あと、トヨタには女性総合職の先輩がいなかったので、かえって自分らしく働けるのではと思いました。

中村 車への興味はあったのですか?

大塚 いいえ、全然。車の免許も、内定が出てから取りに行きました(笑)。

中村 意外です(笑)。結婚したら家庭に入るという女性も多かった時代ですよね。

大塚 うちは母もずっと働いていたため、子どもの頃から男性だけでなく、女性も働くのが当たり前だと思っていました。なので「やればできる」と。

中村 なるほど。女性の同期入社は何人くらいいたのでしょう?

大塚 200人中6人です。

中村 自動車業界は男性が多いイメージ、さらに伝統ある会社だけに苦労されたことはありますか?

大塚 私自身は、それほど感じていないんです。ただ珍しい存在だっただけに、特別扱いはされたくない、周囲に気を遣わせないよう頑張ろうとは思っていました。よく「男性と同じように働きます。目標は定年退職です」と言っていた記憶があります。

中村 最初は国内企画部で、国内向け商品の企画を担当されていたんですね。

大塚 はい。一人ずつ担当車種が割り当てられ、私は「スターレット」というコンパクトカーを担当。女性の愛用者が多い車だったのでマーケティングもしやすく、女性目線で仕事を進められてラッキーでした。

モータースポーツやスポーツカーを扱う「GAZOO Racing Company」では、統括としてサステナブルな体制づくりに励んだ。

中村 その後、ビスタ店営業部、人事部等を経て、2019年にはGAZOO Racing Company統括としてモータースポーツ/スポーツカーを担当されています。女性でこの部署への異動は珍しいのでは?

大塚 私も驚きました。モータースポーツは、ビジネスとしてやっていくのが難しい分野です。でも、トヨタの社内カンパニーを経営するということで、「今までの経験を活かしてきちんと利益を出し、サステナブルな体制をもってモータースポーツに参加し、かつスポーツカーも作れるよう頑張ってほしい」と言われ、なるほどと。「今までの経験を総動員して頑張ります」とお返事しました。

男女関係なく、自分らしい
貢献の仕方を探していけばいい

中村 これまでさまざまな部署で仕事をしてこられましたが、特に印象に残っているのはどこですか?

大塚 1999年に配属になったビスタ店営業部ですね。販売店の経営支援と販促を担当していたのですが、他の販売店に比べると比較的新しいチャネルで、規模の小さいなか、皆イキイキと新しいことに挑戦していて、すごく新鮮でした。

中村 その経験が一つの転機に。

大塚 はい。私は2002年から1年間、人事部でダイバーシティプロジェクトを担当したのですが、多様性を活かす経営の大切さはビスタ店で学んだと思っています。以前の私は、女性も男性と同じように働かないといけないと考えていたのですが、それは違うと。おのおのが自分らしい貢献の仕方を探していけばいいんだと気づいて、自身の働き方も変わりました。

中村 それはどのように?

大塚 まず、他の人から浮かないようにしようと考えるのをやめました。あとは新しいアイデアや少々恥ずかしい思いつきも、素直に伝えていくようにしました。

中村 近年、「ジェンダーレス」が問題提起されていますが、私は「女性だから云々」ではなく、全部取っ払って「私だからこうする」というのが本当の意味でのジェンダーレスだと思っているんです。

大塚 まさにそれこそがダイバーシティですよね。ダイバーシティは、新しいものを生み出したり、すでにある何かを変革していくためにあるものです。「女性らしく」とか「女性はこうあるべき」といった役割を演じている限り、実現はできません。

中村 その思いを、トヨタはどう反映させているのでしょう?

大塚 ダイバーシティプロジェクトを担当していた時は、在宅勤務を可能にしたり、託児所を作ったり。企業風土改革ということで、「皆がダイバーシティという言葉を覚えて、それを大切にする文化を作りましょう」というアクションも起こしました。

中村 なんて素敵な取り組みなんでしょう! しかも、お金をかけて託児所を作る企業ってなかなかないと思いますし、素晴らしいですね。

大塚 ありがたい会社です。やはり長期雇用で会社に貢献してほしいと思ったら、環境を整える必要がありますね。

中村 その後、女性の採用はどうですか?

大塚 徐々に増え、今は事務系ですと4割、エンジニアでも1割強ほどが女性です。子どもが何人いるとか、ご主人の理解の有無やご両親が近所にいるかどうかなど、多様な立場の女性が働いていることで、ダイバーシティへの理解も進みました。

中村 そういった一人一人の事情を、上司と話し合う機会はあるのでしょうか?

大塚 会社としてヒアリングもしますし、上司と今後どうキャリアを築いていきたいのかという話もします。女性に限らず、新たに入社する若いメンバーはさらに多様になっているので、それぞれが自分らしく働ける会社を目指すべきなのですが、まだまだ不十分なところも多いです。

中村 取りまとめる上司は大変ですね。

大塚 正直、ダイバーシティを掲げるのは簡単ですが、実行は難しいです。コミュニケーションにしても、価値観の同じ人とはスムーズに話せますが、そうでない人とはすごく時間がかかります。でも、それを乗り越えないと新しいものは生まれない。同じ価値観で同じことを考えている人と仕事をしても煮詰まっていくだけなので、そのコストはかける価値があります。