獄中求人専用誌「NEXT」

元ヤクザが服役・就職・結婚を経て更生し「獄中求人誌」を作るまで

赤落ちの経験が生んだニッチなサービス

「NEXT」という獄中求人誌をご存じだろうか。アルバイトニュースan、タウンワークなど、求人誌は街中至るところで目にする。最近では、リクナビやIndeedなどのウエブ版も利用勝手がよく、読者の皆さんもなじみ深いと思う。

今回、ご紹介するのは、街中では決して見ることができない求人誌、獄中求人専用誌「NEXT」の裏側をご紹介する。

この求人誌は、筆者が2年前に、NHKのニュース番組「シブ5時」でご一緒して知り合った広島県福山市で建設業を営む山本晃二社長が、月に一度発刊している紙媒体の求人情報誌である。

なぜ、獄中専用なのか……誰しも疑問に思うのではないだろうか。筆者も同感であった。そこで、コロナ禍の緊急事態宣言解除の間隙を縫って福山に飛び、山本社長から直接話を伺った。

求人誌を手にする山本社長
 

母親による「こう育つべき論」の押し付け

獄中求人誌――そういう潜在的ニーズは、なかなか気づきを得ることが難しい。なぜ、そこに気づいたのか。筆者は、彼の少年期から現在までの背景が気になり、その点から質問を始めることとした。

少年時代、早くに父親を亡くした山本氏は、母親と兄、妹の4人家庭で育った。母親の躾は厳しく、子どもに「自分の理想を押し付ける教育方針」だったとのこと。「なんでアンタだけ、同じように育てたのに、(ほかの兄弟とは)違うの」と、いつも叱られ、自分を理解してもらえなかったと語る。親の持っている「こう育つべき」子ども像の枠にはめられたくないという思いは日増しに強くなったという。

中学校時代、ほかの子と違うこと――非行に走り、バイクを盗み、不良ファッションで街を闊歩した。とはいえ、学校では不良の役割があり、支持してくれるクラスメートも居たことから、不登校などには陥らず真面目に通学している。いま、思い返しても「総じて学生生活は面白かった」と回想する。

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