あなたは僕、僕はあなた。
みんながフラットな関係性。

左:ホームレス小谷、右:稲田ズイキ

稲田ズイキ この世に聖人のような完璧な人間はいません。それでも頑張っている人の姿を見ると心が洗われるし、安心もできるんですよね。

ホームレス小谷 そういう意味でもクラファンっていいですよね。頑張ってる人のプロジェクトを応援できるんだから。

稲田ズイキ 一般的には、売る人と買う人って主従関係になっているじゃないですか。対してクラファンは、売る側も買う側もみんなで一緒にやっていこう!という雰囲気を感じます。仏教の考えも同じで、一方的な関係を嫌うんです。あなたは僕だし、僕はあなただし、と自他の境界線をできるだけぼかします。もしかしたらクラファンって大乗仏教っぽいのかもな。

ホームレス小谷 へえ。みんなでやっていこうっていうのは大乗仏教なんすね。

稲田ズイキ 初期の仏教は自分の苦しみをなくすことを一番大事にしていたんですけど、その後に生まれた大乗仏教は、より慈悲の概念を大事にしています。相手の苦しみを取って、その苦しみが取れることを自分の幸せと思えば、独りよがりの生き方が正されて、苦しみもなくなっていく。つまり、自分と他人、同時にお互いを救い合おう! っていうのが大乗仏教なんです。

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“ブッダみ”が増すと、
贈与が循環する世界になる。

ホームレス小谷 僕の感覚ですけど、クラファンにはおもろそう、楽しそうというムードがあると思う。お金が必要だからクラファンするっていうよりも、ストーリーをみんなでつくろうっていうふうに僕はいつも考えてます。こんなおもろいプロジェクトを思いついた、普通の企業に提案しても通らないような内容やけど、友だち10人くらい集まってみたら、わ、できたやん!っていうノリ。一緒にドラマをつくってる感じがごっつあるんですよ。

稲田ズイキ 一般的な寄付は、払う側はお布施のつもりでも、払われる側が組織などの場合が多いので、お互いに徳を高め合っていこうぜ!という前提、つまり菩提心を感じづらいのだと思います。でもクラファンには双方向でお布施をやり合おうとする雰囲気がある。それを仏教の一番大事な世界観で「縁起」と言って。自分というものは独立して存在しているのではなく世界の一部であり、自分は多くの他者で自然そのものであるっていう感覚なんです。

ホームレス小谷 ホームレスになる前は、働かな、家賃稼がなって焦ってた。でもその必要がなくなって、今はお金を手に入れても、自分じゃなくて誰かのために使おうって感覚になりましたよね。誰かが自分に使ってくれてるから、自分はすでに満たされてるんですよ。

稲田ズイキ それ、自我が自分自身から離れて、それぞれの他者の間に存在している状態ですよね? 小谷さんはやっぱり、かなり“ブッダみ”があるなぁ。

ホームレス小谷 ブッダみ!! またえらいパワーワードが出たな(笑)。

稲田ズイキ しかも、小谷さんと話していると、自然とこういう生き方をしたいなぁって思えてくるんです。そこまでなると、もう仏教そのものなのかも(笑)。小谷さん、もしかして動物に好かれたりしません? 釈迦は野生の象にも愛されていましたよ。

ホームレス小谷 さすがに象に好かれてるかはわからんですねえ。知らんおっちゃんが近づいてきて、きみマジシャン? って言われたことはありますけど(笑)。

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PROFILE

稲田ズイキ(いなだ・ずいき)
1992年京都府生まれ。月仲山称名寺副住職。同志社大学法学部卒業後、広告代理店入社。2018年より独立し、作家・編集者として活動。12月16日に初著書『世界が仏教であふれだす』発売。

ホームレス小谷(ほーむれす・こたに)
1983年兵庫県生まれ。お笑い芸人を経て2013年からキングコング西野亮廣の勧めでホームレスになるも、食事にもお金にも困らず楽しく暮らす。企画した約30のクラファンはすべて成功。

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです。
Photo:TADA(YUKAI) Text:Mick Nomura (Photopicnic) Edit:Yuka Uchida

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