2021.05.12
# 本 # 日本

多くの人が意外と知らない…「スピリチュアリティ」とは何か、古くて新しい“その正体”

「スピリチュアル」や「スピリチュアリティ」はすっかり日本語に定着している。だが、この言葉が指す対象は幅広く、ヒーリングや瞑想、占い、パワースポットめぐり、ケルト文化、UFOや宇宙人のようなオカルトまで、実に多くのものが含まれる。いったい何がスピリチュアル文化の特徴なのだろうか。岡本亮輔『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』では、その源流にある欧米のニューエイジ文化や日本の精神世界ブームに光をあてる。

〔PHOTO〕iStock
 

スピリチュアリティとは何か

スピリチュアル文化の裾野は広い。予言、占星術、魔女、自己啓発、願いは必ず実現するというポジティブ・シンキング、性格診断などのポップ心理学、パワースポット、坐禅やマインドフルネスなどの瞑想、菜食主義や食事療法、代替医療、気功、超能力、東洋思想、宇宙人やUFOなど様々なものが含まれる。これらに共通する特徴はあるのだろうか。

社会学では、伊藤雅之がスピリチュアリティを「おもに個々人の体験に焦点をおき、当事者が何らかの手の届かない不可知、不可視の存在(たとえば、大自然、宇宙、内なる神/自己意識、特別な人間など)と神秘的なつながりを得て、非日常的な体験をしたり、自己が高められるという感覚をもったりすること」と定義し(『現代社会とスピリチュアリティ』)、小池靖は、よりシンプルに「超自然的な力や存在に自己がつながっている感覚」と定義している(「商品としての自己啓発セミナー」)。

これらの定義のポイントは、「個々人の体験」「自己が高められる」「自己が影響を受けている」といった個人性を強調した箇所だ。仮にその部分がなければ、単に超越的存在とつながりの感覚を持つことであり、キリストや阿弥陀仏と信者のつながりを焦点とする既存の宗教とほとんど変わらない。

拙著『宗教と日本人』の観点から言えば、所属要素が極めて希薄で、個人が信仰・実践の主体となるのがスピリチュアル文化の新しさだ。徹底的に私化された宗教であり、それゆえ、神仏とのコミュニケーションを独占してきた既存の宗教組織の存在基盤を掘り崩す可能性を有している。

他方、スピリチュアル文化として広がる信念や実践の多くは、使い回しである。いったい何が使い回されているのか。半世紀前に欧米で始まったニューエイジ(新時代)と呼ばれる文化を概観してみよう。

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