「死ね」などの言葉を使う子どもへの接し方
ひどい仕打ちを受けたり、相手のことを憎んだりしている時、「ぶっ殺すぞ」などという言葉を冗談で口にすることがあると思います。大人でも会社帰りに同僚と飲みに行って、「あんな課長、死ねばいいのに」とか「あんな会社、燃えちゃえばいいんだ!」などと酔った勢いで口にすることがあるかもしれません。
しかし一般的に、それらはその場の雰囲気や話の流れで口にした「言葉」であり、単なる「言葉」でしかありません。口にしたからといって、それを本気で実行しようとは思っていないし、周りも信じていないわけです。言い方にもよりますが、単に「ひどい上司だ」ということを言っているだけなので、「あいつ、真剣に上司を殺したいと考えている」などとは誰も思ってはいません。
それと同様、子どもが友だちや兄弟に対して「ムカつく」「死ね」などと感情的な言葉を口に出した場合でも、基本的には「そういう時は悲しいよね」とか「なるほど、そう思うよね」といったように、冷静に共感してあげることがなにより大事です。子どもが「アイツをこういう目に遭わせてやりたいんだ!」と悪態をついても、「そう、そんなに憎らしいんだね、そういうのって、イヤだよね」と、一つひとつ子どもの言葉を言い換えてあげるわけです。

「ムカつく」を具体的な感情に変換してあげる
ここで強調しておきたいのは、こうした時は必ず共感で対応することが重要だということです。本人が怒鳴って「殺してやる」とか「燃やしてやる」などといった言葉を吐いた時は、ただその気持ちを周りの人間に訴えたいだけにすぎません。
それなのに、「『殺す』なんて、とんでもないこと言うんじゃない」と注意しても、本人にしてみれば「とんでもないこと」を言っているのではなく、「それだけ僕は大変だったんだ」ということを強調して言っているだけのことなのです。
ましてや、「もし本当に人を殺したら、警察がくるし、刑務所に入らなきゃいけないんだぞ!」などと大真面目に正論を説いても、それは子どもの感情のピントとズレていることになり、「僕の気持ちなんて、誰もわかってくれない」となるわけです。
そもそも、本気で「相手を殺したい」と思っているなら、わざわざそんなことは宣言しません。ですから、「あんなやつ殺してやる」などと言った場合でも、「そうなんだ、そんなにイヤなんだね」と淡々と答え、「その時はお互いにつらかっただろうね」と言い換えをしてあげれば、すっと心に入っていくのです。