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無印良品には「矢印」がある。じつは当たり前じゃない「直角靴下」のヒミツ

永井 一二三 プロフィール

無印良品にある「矢印」

「印が無い良い品」と書いて無印良品。名は体を表すということわざがあるように、無印良品の商品にはブランドロゴが大きく載っていたり、派手な色遣いや装飾が施されていることはありません。

Photo by Gettyimages

しかし、それ自体が無印(呼称)と言われる所以であると同時に、「無印良品にあるもの」を強く感じます。「あるもの」とは「矢印」のことです。SONYがウォークマンで音楽を持ち歩けるように、AppleがiPhoneでインターネットをどこでも手軽に使えるように、「新しいあたりまえという提案」という「矢印」の存在を強く感じます。

既存の製品を数字的なスペックで上回ることによって誇示したり、使ってもらうよりも買ってもたいというブランドの意思が透けて見えるのとは大きく違う企業の姿勢が表れています。

 

先述した無印良品の3つの商品は、消費者のニーズとしてはっきり顕在化してたものではありません。無印良品の方から、「こういう商品はいかがでしょう?」、「この商品がもたらす生活をしてみませんか」という「新しい矢印」の提案が見えてきます。今まで当たり前として受け止め、意識さえしていなかった習慣などにに対して、 新しい発見の気付きのきっかけを提示する。その提示は無印良品の場合、具体的な商品そのものとは別の要素からも受け取ることができます。

2020年4月1日から、消費税額を含めた価格を記載する「総額表示」が義務化されました。それに合わせて話題となった企業のアクションがあります。ユニクロやGUを展開するファーストリテイリンググループが3月12日から、すべての商品価格を総額表示に変更、これまでの商品本体価 格をそのまま消費税込みの価格にすることにしました。以前の価格と比較して約9%の値下げとなるので消費者からすれば単純に買いやすくなるわけです。

このニュースは各所で話題になりましたが、その裏で実は無印良品は2019年9月から商品の総額表示を発表していました。「2019年9月」というタイミングに意味があり、それはつまり、次月の「2019年10月」から消費税が10%になることが決まっていたからです。

店頭で商品を購入する時・飲食店で会計をする時税込み表示での価格で考えていたら税別(税抜き)の価格であったことを知りびっくりする。こんな経験があった方もいると思います。企業としては最初に価格を知るタイミングで実際の価格より少しでも安く伝わって欲しいのでしょうが、私みたいな神経質な消費者からすれば「魂胆」として写り、そのお店に対して良い印象は受けません。

無印良品はそのような考えの消費者がいるであろうこと、そして何よりも消費者にとって気持ちよく買い物をしてほしいという企業としての意思が「消費税込み総額表示」という具体的なアクションを通じて伝わってきます。

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