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日米首脳会談で菅首相が「屈辱的冷遇」を受けた理由

バイデン政権の対中政策は三重構造

菅総理に対する「冷遇」の意味

日米首脳会談が終わった。世間では、アメリカの厳しい対中姿勢がより明確になる中で、日本がまだこの立場についてこれていないことを指摘しながらも、首脳会談自体については高い評価を与える論評が保守論壇では一般的である。だが、私の評価はそれほど高いものではない。

確かに、南シナ海での不法な海洋権益の主張について中国を名指しし、香港やウイグルの人権問題への深刻な懸念を共有し、台湾・尖閣の防衛についても具体的に述べたのは、中国の「核心的利益」を全否定したものだと見ることもできる。

中国が既存の国際秩序を成り立たせているルールを無視した行動を取ることへの懸念を名指しで指摘し、不法なやり口を含め、日米からの技術流出を止めることの重要性を謳っていることにも意味はある。

自由で開かれたインド太平洋のために、日米豪印のクアッドやASEANとの連携を重視する姿勢を見せただけでなく、日本の防衛に関してアメリカが核兵器を含めることに言及したのも意義はある。また、5G・6G開発で協力体制を打ち出すなど、日米でICTのパートナーシップを結び、中国による危険を除外したクリーンネットワークの構築を打ち出したことにも意義はある。

だったら素直に評価すればいいではないかとの声もあるだろうが、それほど単純に考えるわけにはいかない。対中国で日米が強く連携しなければならないという意識がバイデン政権に明確にあるのなら、それは菅総理への遇し方にも強く表れるはずだ。だが、菅総理に対するバイデン政権の処遇は、極めてひどいものであった。

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安倍総理がホワイトハウスを訪問した際には、ホストであるトランプ大統領が玄関の外で出迎えていた。これは決して安倍総理が特別だったわけではなく、外交儀礼上当然のことである。ところが今回はバイデン大統領どころか、アメリカ政府の高官の誰も菅総理を玄関口で出迎えなかったのだ。そこに立っていたのは儀仗兵のみであった。

菅総理がホワイトハウスの中に入っても、ホストであるバイデン大統領の姿はなかった。体調が悪かったという話もあるが、仮にそうであったとしても出迎えの挨拶だけでも顔を出すのがホストの務めであろう。出迎えたのはハリス副大統領であった。

さらにハリス副大統領が菅総理の出迎えにあたって冒頭に述べたのは、菅総理に対する歓迎とねぎらいではなかった。彼女が真っ先に口にしたのは、前日の夜にインディアナポリスで起こった銃乱射事件についてであった。TPOから見て話す必要がある内容だったとはとても思えない。この場で話すとしても、少なくとも菅総理に対する歓迎とねぎらいの言葉を掛けた後で追加的に話すべき内容ではないか。

 

そのうえハリス副大統領が話し始めて3分少々が過ぎたところで、ホワイトハウスの室内の会話が聞こえなくなるほどの轟音が響きわたった。ジェット機が頭上を低空飛行したのだ。ホワイトハウス側はなぜか窓を全開にしており、敢えてこの出迎えにミソをつけようとしていたのではないかと思われるほどであった。

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