提供:パソナグループ

淡路島で人材誘致による独自の地域活性事業を手掛けながら、社員の1人ひとりが多様な価値観に基づき、自由に働き方をデザインしている――。そんな〈パソナグループ〉が淡路島から発信する、新しい働き方、そして企業のあり方とは?

企業理念は
「社会の問題点を解決する」

ワーケーションや二拠点ワークが話題になっているなか、淡路島が注目されている。瀬戸内海の心地良い風が吹き抜けるオフィスには、シングルマザーや若者、ベテランのシニア人材まで全国から多様な人材が集い、それぞれがライフスタイルに合わせて、楽しそうに仕事をしている。そんな新しい働き方を実践するパイオニアが、総合人材サービスを手がける〈パソナグループ〉

創業は1976年、育児後の女性たちの社会復帰の難しさを目にした南部靖之氏が、「主婦の再就職を応援したい」とスタートした。その企業理念は「社会の問題点を解決する」。創業から取り組んできた事業は、全て社会課題と言われるものだった。

ジョブシェアリングで主婦の雇用機会を拡大し、今ようやく当たり前となった在宅勤務には1980年代から取り組んできた。豊富な知識と経験を持つ中高年専門の人材派遣会社を設立したり、就職難の若者に実践的な教育・研修を行う「仕事大学校」を開校したりも。年齢、性別を問わず誰もが自由に好きな仕事を選択して働く機会が得られること、心豊かな生活ができる社会インフラの創造に取り組んできたのだ。

〈パソナグループ〉は一般的に人材派遣の会社として知られているが、実は、その分野の売り上げは全体の50%以下。多くのグループ会社を持ち、福利厚生や子育て支援、農業まで手掛ける多角経営企業である。さらに現在は、2度の大震災やコロナ禍によって雇用が大きく失われる事態に注目し、雇用創造業をビジネスの軸足としている。

特に力を注いでいるのが、首都圏への若者の流出によって高齢化・過疎化が急速に進んでいる地方。その1つが淡路島だった。

淡路島に拠点をつくり
新事業で人材を誘致していく。

創業者という立場でも社員とフラットに話をする南部氏。実はアナログ派で、大事な想いは直筆の手紙で伝えるのだとか。淡路島を「エンタメの島にしたい」と、スポーツのイベントを開催したり、インバウンド需要がある〈ハローキティスマイル〉や〈ニジゲンノモリ〉などをオープン。

淡路島は神戸市出身の南部氏にとって身近な土地であった。阪神・淡路大震災の際には、復興事業に熱心に取り組み、「神戸復興プロジェクト」を発足。そんな縁もあって淡路島に注目したのだ。

2008年には、淡路島で就農支援プログラムである〈チャレンジファーム〉を始めた。これを皮切りに、閉校となった小学校を複合的な観光施設として活かす〈のじまスコーラ〉、兵庫県立淡路島公園に開設したアニメパーク〈ニジゲンノモリ〉といった観光業を主軸にした地方創生事業に取り組むようになっていく。

現在は島北部を中心に9ヵ所の施設を運営することで、文化、芸術、健康、食、教育など、人が集まる夢のある産業を創造し、淡路島において多くの雇用を創出している。

そんな淡路島へ、本社機能の一部を移転するという決断は2020年5月のこと。オリンピック開催時の交通混雑を避けるために、早くからテレワークのノウハウを取得していた〈パソナグループ〉では、新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが早々に定着。これによって、働き方改革や災害時への備えのための地方移転が可能だと判断したのだ。まずは幹部を始め、経営企画や人事などの社員が移住。現在は島内の4ヵ所にメインオフィスがあるほか、近辺のカフェや海辺などで仕事をすることも認められている。

島内に4ヵ所あるオフィスはフリーアドレスで、オープンな雰囲気。パソナファミリーオフィスには保育園が併設されているほか、放課後に立ち寄った児童が、Wキャリア社員に音楽やバレエを習ったりしている。静かな環境が必要なときは、“集中デスク”と呼ばれている部屋を利用する。

淡路島は、空港が1時間圏内に4つもあるといった交通の便の良さも利点。さらに島内における暮らしの利便性を高めるため、住環境の整備にも力を入れている。家具付きの部屋を借り上げ、社員がワーケーションに活用したりも。無料のシャトルバスを走らせ、カーシェアリングシステムも用意しているので交通の不便はほぼない。

今後はこれらのインフラを、今春、開設したワーケーション施設や既存のシェアオフィスなどを含め、社外にも開放していく予定だ。地方雇用創造のため、他企業の誘致にも繋げたいと考えている。実際に移住した社員や、ワーケーションを経験した社員からは、満員電車のストレスや高い家賃から解放され、自然豊かな場所でのびのびと暮らせることへのポジティブな声が多く上がっているという。

とはいえ地方創生には、まだまだ課題がある。例えば現在は、配偶者の転勤や親の介護による離職が少なくないため、新たな地方勤務制度が必要。本社が東京に集中しているため地方には事務職が少なく、特にデジタル系の人材が育たないという問題もある。地方創生には、事務職やエンジニアが全国に散らばることが効果的。そのためにも〈パソナグループ〉の淡路島移転がモデルケースとなれば、日本中でワーケーションや地方サテライトオフィスの設立が進むのではないか、と期待しているのだ。

首都圏と地方、農業とIT、芸術と仕事、リモートワークとオフィス勤務など、固定観念にとらわれることなく、1人ひとりが多様な価値観に基づき、自由に働き方をデザインすればいい。そんなハイブリッドワークこそが、〈パソナグループ〉が考える真に豊かな働き方なのだ。

パソナグループが手がけるSDGs事業

農を通じてSDGsを伝えていく

生えてくる草の種類で土の再生段階がわかるそう。

南部氏が考える今後の社会の課題の1つが、食と健康。そこで、東京の社屋に農園を設けたり、酪農分野での人材育成を目指す〈大手町牧場〉をオープンしたりしてきた。就農支援事業は10年以上も前から全国で展開。〈パソナチャレンジファーム〉では、農業に従事しながら経営感覚を磨くという農業ベンチャー支援制度も行ってきた。そして淡路島を拠点に“農”を通じたSDGs貢献事業を展開しているのが、社内ベンチャー〈タネノチカラ〉。多くの日本人が、農薬と化学肥料、遺伝子組み換え、雄性不稔の農作物、食料自給率の低さ、野菜産業の構造といった問題を知らない現実を危惧。食と健康こそ持続可能な社会の基盤として、「本質的なSDGs」を広めていこうと試みている。

農地内では名古屋コーチンを、抗生物質や農薬などの薬剤を使わずに自然飼育している。

事業内容は、学校教育や企業研修にて、自然栽培やアースバッグハウス作りなどのファームビレッジ作りをそのまま「体験」として提供すること。約3haに及ぶ耕作放棄地を「共創循環型ファームビレッジ“Seedbed”」として活用し、3年で1,000種の生物が共生するフィールドへ生まれ変わらせる計画だ。持続可能な暮らし方や地域社会と個人のあり方を見つめ直す機会を提供し、種の保存や食の持続に繋げることを目指している。

Wキャリアで夢と仕事を両立させる

〈のじまスコーラ〉内の動物園では、飼育員の勉強をしたスタッフがWキャリアで働いている。

ライフスタイルに合わせた多様な働き方を創造するという視点から、オフィスワークをしながら就農もするというようなWキャリアのワークスタイルも探っている。演奏家や声楽家、バレリーナ、パフォーマーといったアーティストは、夢を追いながらアルバイトで生計をたてる人も多いが、雇用が安定しなかったり、社会保険に入れなかったりという不安を抱えている。またコロナ禍によって、イベント会場の閉鎖や公演の中止など、エンターテインメントの仕事は激減。

レストラン〈青海波〉でピアノを弾く大森愛弓さんは、作曲家とサービススタッフを両立。〈ハローキティショーボックス〉や劇場〈波乗亭〉でダンスを踊る社員もいる。

そこで働きながら芸術活動に取り組める環境を提供。淡路島で展開するレストランや劇場、ホテルなどの施設で、それぞれのスキルを活かしながら、サービススタッフや事務職といった運営業務にも携わっている。

才能を見出して障がい者を支援する
パソナハートフル

西海岸に佇む和食レストラン〈青海波 青の舎〉には、〈アート村〉のアーティスト社員が、音楽をテーマに描いた絵画が飾られている。ポップな色合いが魅力。

2003年から、「才能に障がいはない!」をコンセプトに、働く意欲がありながら就労が困難な障がい者がイキイキと働ける環境と、健常者と共に社会参加できる「共生の場」を創りだしてきた〈パソナハートフル〉。アートによって就労支援を行う〈アート村〉や、無農薬で農作物を栽培する〈ゆめファーム〉など、それぞれの才能や能力に合わせて職域を開拓。

東京・大阪の2ヵ所で、プロの指導のもと、保存料・着色料・香料等の添加物を一切使用しないパンやケーキ、クッキー、コンフィチュールを製造・販売している。

〈アート村〉の作品を活用した〈アート村工房〉の商品や、無添加のパンや焼き菓子を製造する〈パン工房〉の商品は、パソナ関連施設でも販売。また、障がい者雇用のノウハウを活かし、企業向けに障がい者の採用から定着までを支援するコンサルティングサービスも提供。それぞれの個性を活かしたディーセント・ワークを促進している。

遊休施設を活用

愛らしいコテージが並ぶ〈グランシャリオ 北斗七星135°〉。地元食材を使い、山下春幸氏が監修した料理は絶品。「ナイトウォーク 火の鳥」の体験特典も。

未利用地や耕作放棄地、放置されたままの空き家といった遊休施設もまた、人口が減少している地方の抱える課題。〈パソナグループ〉はそれらを観光施設などに活用することで、課題の解決に取り組んでいる。例えば、耕作放棄地は農業事業や前述の〈タネノチカラ〉の活動場所に。体験プログラムとして事業にしている。

〈のじまスコーラ〉では、農業やアート、音楽などのイベントを開催。地域活性化のための情報発信基地や交流の場として賑わっている。

また、閉校となった旧野島小学校を改装し、「食・農・学・芸」をキーワードに農業の六次産業化などを通じて地域活性化を目指す拠点〈のじまスコーラ〉。島内で採れた農産物を販売したり、島の食材を活用したレストランやカフェを運営したりしている。壁に飾られた卒業制作や校門などをそのまま残しているため、地域住民の交流の場としても好評。

公園の自然を活かして作られた〈ニジゲンノモリ〉は、マンガ・アニメなどの2次元コンテンツにメディアアートを融合させた、体験型エンターテインメント。

東京ドーム約28個分の敷地面積を誇りながら、島外から訪れる人がほとんどいなかった兵庫県立淡路島公園は、敷地内に体験型エンターテインメント〈ニジゲンノモリ〉や宿泊施設〈グランシャリオ 北斗七星135°〉をオープンして有効活用。県が負担している整備にかかる費用が無駄にならないうえ、人材誘致や地域活性化に繋がっている。


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●情報は、FRaU SDGsMOOK WORK発売時点のものです。
Photo:Kenji Mimura Edit & Text:Shiori Fujii