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進学校で部活をする意味って? 「甲子園を目指さない」を公言する監督が語ったこと

「甲子園を目指さない」

硬式野球部のある高校は全国で4000校近くあるが、「甲子園出場」を目標に掲げて活動するチームばかりではない。もちろん、「甲子園に行きたい」という願い、思い、夢を持っていても、出場の可能性がどうか…というのは別の話だ。

神奈川県横浜市青葉区にある市ケ尾高校は、1974年(昭和49年)に設立された。在校生は1200人近くおり、神奈川県内では最大規模を誇っている。進学先に、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学など難関校が並ぶ進学校だ。

「うちでは、甲子園という言葉は練習中、試合中、大会中も一切出ません。甲子園につながる大会に出ているだけです」

その野球部で指揮をとる菅澤悠監督は言う。

「僕は常々、『甲子園を目指さない』と公言しています。もし甲子園に行きたいならほかの高校を選んだほうがいいと」

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神奈川県には、2021年春のセンバツで優勝した東海大相模をはじめ甲子園常連校がたくさんあり、公立校が勝ち上がる可能性は限りなく低い。その事実を知る野球部員は、いたって現実的だ。

監督が「甲子園を目指さない」と公言していることもあって、選手の野球への意識は甲子園常連校とは違う。もちろん、甲子園に行きたいという気持ちはあるが、「行けたらいいな」と考えているのではないかと菅澤監督は言う。

「神奈川県で公立高校が甲子園に出るのが難しいのは生徒たちもわかっています。それを承知のうえで市ケ尾に入ってきているので、うちの子たちは野球をやっていて楽しい、仲間と一緒にいて楽しい、学校が楽しいという感じですね」

本来、あるべき部活動の姿とも思えるが、大学の同好会やサークルとは違う厳しさを菅澤監督は求める。『甲子園はもういらない……それぞれの甲子園』(主婦の友社)という書籍の中で、こう語っている。

「そこだけ切りとると、楽な感じに思われるかもしれませんが、練習は厳しくやります。甲子園を本気で狙う高校に勝とうとしています。

矛盾していると思われるかもしれないんですが、厳しいことをやってるからしんどいんじゃなくて、しんどいけど楽しい、楽しいけどうまくなる、楽しくやって勝てるということを常に求めています。入部する一年生にははじめに『野球が楽しい、グラウンドに早く行きたい、みんなと野球をやりたいと思ってほしい』と言いますね。野球がうまくなる一番の近道だと思うから」

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