# 総合商社

合コンの幹事、遊牧民との交渉、ツアーガイドまでやる!謎に包まれた「総合商社の仕事」の本質

徳永 勇樹 プロフィール

意思決定のサポートとその実現こそ商社の仕事

筆者は「顧客・取引先の意思決定のサポート」「決定事項の実行」の二つが商社の仕事の本質だと思う。実行の部分までカバーして業務を行う点で、しばしばコンサルティングファームとも対比される。

例えば、筆者はある日本製品の輸出の仕事をしていたが、その業務範囲は相当広かった。新規顧客にプレゼンテーションをして商談をまとめる。メーカーや顧客を交えた契約書は弁護士でもない自分がドラフトを作り、製品の価格もメーカーとの協議の上自分が主体となって決める。契約ができたら船や鉄道の輸送スペースを押さえて、旅行代理店のように現地出張のロジまですべて確認する(自分だけでなく同行者の取引先の人の分の飛行機チケットも押さえる)。

何か問題があればすぐに現地に飛んで、メーカーの代わりに謝ったり、逆に顧客の窮状をメーカーに伝えて頭を下げて、場をうまくおさめる。そして、製品が顧客に届けられ、入金が確認されるところまでを見届ける。

その派生で、顧客が日本に視察に来た際にはショッピングや観光にお付き合いしたり、ハラルやベジタリアンなど食事制限のある人のために特別な食事をご用意する(一度、「マルゲリータピザチーズなし」を注文したことがある)。ある外国の取引先の方のために、今度生まれてくる子供の名前を一緒に考えたこともあった。こうした人間関係の構築は、関係者が集まる会議の場で意思決定を円滑にする上で大いに役に立った。

 

一般的に、仕事は意思決定と実行の繰り返しだ。商社は、高度な判断力を持つプロとして直接的にもしくは間接的に意思決定し、そこで決めた事を具体的に実行完了するところまでフォローする。「何かを決めて、それを実行する」ために必要なことはなんでもやるのだ。また、驚くべきことに、商社ではそうした複雑な仕事を入社1年目から全て任される。社外の人との会議では、いつも自分が最年少の出席者だった。

ちなみに、筆者の思い出深いエピソードは、ある日インドにある取引先の工場から東京のオフィスに電話があり「工場に羊とヤギ100頭を連れた遊牧民が侵入して困っている。何とかしてほしい」という問い合わせがあったことだ。職務規定上詳しい話は言えないが、遊牧民に居座られると工場が稼働できず収益が出なくて困るので、筆者も必死になって考え最終的には無事解決に至った。このような不測の事態に対応するのも商社の仕事だ。

Photo by iStock

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