自分がしてもらったことを誰かにしてあげたい

「僕、去年がデビュー20周年だったんです」

彼のキャリアのスタートは異色だ。俳優デビュー作は「仮面ライダークウガ」。オーディションでクウガ役を掴んだオダギリジョーさんと対立する敵の首領役だった。

「20年前は、まさか自分がミュージカルの世界に進むなんて思ってもいなかったです。しかも、アーティストとして、アルバムを2枚もリリースできるなんて! 本当に、世の中何が起こるかわからない。最近の若い世代はあまり大きな夢を持たないなんてことも聞きますが、僕はこんな時代だからこそ、『夢を持つことは大事だよ!』って言いたいですね。つらいとき、落ち込んだときこそ、自分が助けられた経験が将来に生きてくる。もし、『自分が助けられたことを、将来、自分も誰かにしてあげたい』と思えたら、それは、目標としては最強だと思うんです」

撮影/岸本絢
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セカンドアルバム『Piece』をリリースした経緯も、コロナ禍で落ち込んだ浦井さん自身が、音楽に慰められたことがきっかけになっている。

「コロナ禍で、エンタメ界はとんでもない苦境に直面しました。僕自身は、去年は日生劇場で『天保十二年のシェイクスピア』に出演している最中に、新型コロナウィルスの感染がどんどん拡大していき、全席完売したはずなのに、だんだん空席が増えていった。東京は数公演を残して中止になって、大阪は全公演中止になりました。3月はIHIステージアラウンドで上演予定だった『ウエスト・サイド・ストーリー』の稽古に入りましたが、ゲネ(※本番直前のリハーサルを指す“ゲネラルプローべ”の略)までやって、本番は中止。ステイホームの日々に突入したんです」

人と会えない。人と楽しく食事ができない。会話もできない。たとえ人に会えたところで、誰もがマスクをつけていて、笑顔を見ることができない。親しい人と手を繋ぐことも、温もりを感じることすらままならない。そんな毎日の中で、エンタテインメントの力によって鬱々とした気分が晴れていくのを感じていた。

沈んでいた心にエネルギーをくれたのは歌

「とにかく、僕にエネルギーをくれたのが“歌”でした。いろんなアーティストさんの音楽に触れて、励まされて、救われた。一番『うぉーっ!』ってなったのが、無料で配信された海外のミュージカルを観たときです。『こんなチャンス滅多にないぞ』と貪るように観て(笑)。そうしたら、自分の中にエネルギーが充満していることがわかって、『僕も歌声を届けたい!!!』と無性に思いました」