デモに行くのはCOOLなんだよ

2019年。デンマークに留学した。民主主義の本質を学ぶ「フォルケホイスコーレ」という全寮制の学校へ。デンマークの国政選挙とEU議会選挙が重なる選挙イヤーとあって、町中は選挙のポスターや看板でいっぱいだった。
どうしてデモに行くの?と友人に聞けば「デモに行くのはCOOLなんだよ」と言われた。
「どうして投票に行くの?」と尋ねれば「自分の意見を反映させるため」と当然のように答えた

瀧澤 政治が身近だから、どんな社会課題があるのかをデンマーク人は共有している気がしました。「私たちひとり一人が社会を作っている」という空気でいっぱいでした。
留学後「社会を動かしたい」という気持ちはあっても、糸口がつかめない。2019年7月に仲間とともに「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げた。

NO YOUTH NO JAPANの仲間たちと 写真提供/瀧澤千花

瀧澤 県知事選があると知って調べたら、前回の投票率で若者世代が2割も投票していないことを知って愕然としました。U30世代が5人に1人も投票に行っていないわけです。これは(投票率を)上げなきゃいけないと。去年の10月くらいから構想を練って今年1月の成人式に「VOTE FOR CHIBA」のパンフレットを配布し、選挙割の協力店舗も58店舗集めました。

note「千葉県知事選挙でU30の投票率を上げる! VOTE FOR CHIBAプロジェクト始めます。」より
お店にパンフレットの配布を依頼してまわった 写真提供/瀧澤千花
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「選挙割」とは、投票と引き換えに受け取る「投票済証明書」を提示すると、企画に賛同する飲食店などで割引やサービスを受けることができる仕組みだ。高校生や大学生30人ほどのメンバーで店舗を回って「営業」した。県内300店舗もの店にSNSのDMを送ったり、声をかけて回った。インスタやSNSで拡散した。

瀧澤 選挙割自体の認知度がまだ低くて「後から知った」という若い人の声は多かったです。県内全域に利用者を広げるまでには至らなかった。店舗を回っていると、県知事選自体を初めて知った方もいらっしゃった。

「餌で投票させるなんていかがなものか」と言われたこともあった。「個人的には面白いと思うけど……ここじゃやっぱりできないかなあ」と商店街などの組織での枠組みを気にする声は少なくなかった。政治と商いを結びつけることがタブー視されている実情を知った。

瀧澤 そういったものの集積が、投票率が上がらない根底にあるんだと思いました。ただ、誰かが悪いわけではないと思っています。これは社会全体の問題なので。こういったことに「取り組まないほうが波風立てない」というわきまえなのかも。

千葉県知事選の投票率は、31.18%だった前回を7.81ポイント上回る38.99%になった。若い世代でどの程度上がったかというデータはまだ出ていないが「結果にかかわらず、また(選挙啓発を)やりたい」と瀧澤さんは前向きだ。

それにしても、彼女たちの世代はなぜ社会貢献への意識が高いのだろうか?

将来が不安だからです。少しでも未来を明るくするために、正しいと思うことをやっています。ジェンダーの問題が一番関心が高いです。今の状況を少しでもいい状態にして、下の世代に渡したい。自分の未来はともかく、日本という社会がどういう方向に向かっていくのか。いろんな改革のスピードをもっと速めたい」(瀧澤さん)と頼もしい。

こんなに不安な社会にした大人のひとりとして、私も自分のやれることをやろうと思う。

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