「人を色眼鏡で見たくない」と思って生きてきた

「悪女の定義がわからない」との発言からも分かる通り、内田さん自身、昔から「人を色眼鏡で見たくない」と思って生きてきた。「この人はきっとこうだ」と決めつけること。何かに失敗したからといって、「失敗した人」のレッテルを貼ってしまうことは嫌だった。

「モデルでデビューしてお芝居を始めてからは、元気で明るくて、ボーイッシュな役柄がすごく多かったんです。20代になってからは、大学生とかOLとか役柄の広がりはあったし、舞台にも挑戦したり。やりがいを感じるようにはなったけれど、20代半ばで一旦芸能のお仕事から退いたので、本当の意味で、お芝居で人間を演じる面白さを感じられるようになったのは、30代になってこの世界に戻ってきてからです。若い頃とは違う、人間臭い役や、一癖、二癖あるような役をいただけるようになって、人間の豊かさっていうのは、心がたくさん動くことにあるんじゃないかと思うようになりました」

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楽しい、嬉しい、ときめく、ワクワクする、安らぐ……。心の中に訪れるそういった“正の感情”だけが、自分を豊かにしてくれる。20代までは、そんな風に思っていた。でも、悲しいとか辛いとか苦しいなどの“負の感情”を経験することが、自分に何か気づきをくれたり、「頑張ろう!」と思うエネルギーをもたらすこともわかった。

「人間の面白さって、正しさにあるわけじゃない。明るいこと、元気であることが誰にとっても正義なわけでもない。年齢を重ねて楽しいなって思うのは、物事でも人でも、許せる範囲が増えていくことです。若い頃は、自分の考えを押し付けて、思い通りにならないとイライラしたりとか。仕事に限らず、私にもそういう面が少なからずありました。ものすごく子供っぽいエピソードで言えば、『今日はこれが食べたい!』と思ってそれが叶わなかっただけで不機嫌になってしまうとか。……いまだにそこは治ってないんですが(笑)。でも、思い通りにいかなくても、笑って許せるのは大人の特権。人を認めることは、自分を認めることでもあるんです」