相子は、大介の孤独をわかってあげられる存在

内田さんによれば、相子は、いわゆる「キャリアウーマンの走り」なのだという。

「1960年代といえば、女の幸せは結婚にあると誰もが信じて疑わなかった時代かと思います。でも相子はその結婚に失敗してしまいます。実家に戻ったものの、家庭の事情で就職もできず、万俵家に拾われたわけです。家庭教師として、『子供たちが大学を卒業するまで』と住み込みで面倒をみることになって、万俵家での相子の“居場所探し”が始まった。彼女からすると万俵家での暮らしを決めた当初からずっと“戦闘モード”だったように思います。だって、彼女は自分の居場所のために万俵家を大きくすべく、持っているすべての能力を使っていったわけですから……。苦しみや切なさ、悲しみをすべて自分の力に変えていける女性だけれど、それは、彼女が“自分の生きる場所はここしかない”と腹を括った結果なのかな、と」

-AD-

与えられた場所で生きていくために。自分に課せられた役割を必死で全うしようとする相子の勘の鋭さや観察力、先を読む力などの表現に向けて、内田さんは監督と声の出し方や話すテンポなど、細かいところまで話し合いながら相子像を作っていった。

「“仕事のできる女”として自分の存在感を誇示する一方で、相子には、一人の女性としての愛らしい側面もあります。本家にいるときは、どうしても本妻の寧子さんとの対立もあれば、子供たちにも疎まれていますので、それなりに嫌な感じも出てしまう(笑)。でも、大介と二人きりで過ごしているときは、大介に対して真っ直ぐに愛を向ける。大介と一緒にいるのは打算ではなくて、ちゃんと愛があるんです。大介の孤独をわかってあげられたのが、妻の寧子さんではなく、相子だったんだろうと思います」