彼女と彩乃ちゃんが泣いた日

そして、なんといっても交際がスタートした日のことを記しておきたい。
新宿の初めて行く焼き鳥店で、彼女と2人で食事をとっていた。そこで私から交際を申し込むも、彼女からはっきりとした返事はないまま、ふわふわとしたディナータイムを過ごしていた。そんな中、4人のグループLINEに2人から写真が届く。2人で飲みに来たと仲睦まじいツーショットが添えられていた。それではこちらもと、少々肌がなめらかになるアプリで記念写真を撮影し、送る。ふと送られてきた写真を見返すと、壁、机、料理、取り皿、あまりにも似ている。まさかと思い、店名を伝えるとビンゴ。偶然にも同じ店内で、2人は一足先にカップルになっていたのだ

友人には、そろそろ彼女に交際を申し込もうと考えていることのみ予め相談していたが、明確にいつどこでといった話はしていなかった。あまりの鳥肌に、たらふく飲んだはずのビールのアルコールが全て分解されてしまうのではと感じた。

すぐさま合流し、交際スタートの報告を受けた。更に「バビたんたちは、付き合ったの?」とふわふわした空気に鋭利な矢を的確に放つ彩乃ちゃん。そして2人に見守られながら、僕たちも数分遅れでカップルになったのだ。友人と僕は暢気にビールを飲みかわしていたが、彩乃ちゃんと彼女は何故か2人そろって泣いていた。

写真提供/バービー
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その日からLINEグループの名前は、その店名に変更し、青春時代を取り戻したようにグループ交際が始まった。浴衣で花火大会、遊園地でプリクラなど、あまり人目を気にすることなく、真っ当にグループ交際を楽しんでいた。そんな彩乃ちゃんが友人と結婚したのは、2020年4月のことだった。時には明け方まで、喧嘩さながら涙の混じったディベートを共に繰り広げたほどの仲間である、2人の結婚は、この上ない喜びに加えて、問題児を見送る担任の気持ちも入り混じった。2人の燃え盛る愛の炎はすさまじく、火傷しないよう、かえって冷静に見守ることができた。

青春 写真提供/バービー