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Appleが「利用者のプライバシー保護」を強化する「戦略的理由」

Facebookは猛反発!
先日、Appleの開発するiPhoneのOSであるiOSのバージョン14.5がリリースされた。注目されるのは、「利用者のプライバシー保護」が強化されたことである。この変更によって、アプリが端末を特定する情報を取得できるかは、ユーザーに委ねられるようになった。

これに対し、Facebookは反発の姿勢を打ち出している。なぜAppleはこのような変更を行い、なぜFacebookは反発しているのだろうか? GAFA各社の思惑と、この変化がもたらす私たちへの影響について、宇田川敦史さんが読み解く。
 

プライバシー保護が強化されたiOS

近年「プラットフォーム」企業を代表する存在として、「GAFA」という言葉がよく聞かれる。Google, Apple, Facebook, Amazonの頭文字を取ったものだ。現代のメディア環境において、これらのサービスと無縁の生活を送っている人は少数派かもしれない。

たとえば、今や毎日の生活に欠かせないスマートフォン。日本でも特に人気の高いiPhoneはAppleの製品だし、iPhone以外のスマートフォンは、ほとんどがAndroidと呼ばれるOS(基本ソフトウェア)を採用しており、そのAndroidはGoogleが提供しているものだ。

iPhoneのOS「iOS」と呼ばれ、iPhoneのさまざまな機能や動作を規定している。Appleは2020年6月に開催した開発者向けイベントで、iOSの新バージョンのプライバシーについて新しい方針を発表した。これまでアプリの提供者がデフォルトで取得できていた「IDFA」と呼ばれる端末特定のためのデータを、ユーザーから明示的な許可を得ない限り取得できないようにする、というものだ。

この変更は先日リリースされたばかりのiOSのバージョン14.5から実装されており、アプリ起動時に以下のような画面が出るようになった。実際見かけたという人も多いのではないだろうか。

iOS 14.5以降で標準化される広告追跡の確認画面例

このIDFAは主にアプリの広告配信に使われるものだが、Appleはこの規制によって「利用者のプライバシー保護を強化」できるのだという。

これに対してFacebookは、「中小企業のビジネスを大きく圧迫するものだ」として痛烈に批判し、新聞に意見広告を掲載するなど物議を醸している。実はこの問題、一見技術的な対立のようにも見えるのだが、私たちのスマートフォン生活のあり方に大きく関わる問題をはらんでいる。

本稿では、この論争と、私たちの日常的なメディア環境の関係について考えてみたい。

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