〔PHOTO〕Gettyimages

J&J製も血栓で使用中断…世界に「ワクチン格差」が拡がる可能性

選択肢は先進諸国のみの「特権」なのか

欧米で、一部の新型コロナ・ワクチンに対する信頼が大きく揺らいでいる。米国のCDC(疾病対策予防センター)とFDA(食品医薬品局)は今週、米ジョンソン&ジョンソン製ワクチンを接種した人たちから極めて稀だが特殊な血栓が報告されたとして、その使用を中断するよう勧告を出した。

今回、血栓が確認されたのは6名で全員女性だ。年齢は18~48歳で、ワクチン接種から6~13日後に血栓が生じた(ジョンソン&ジョンソン製ワクチンの接種は1回で済む)。そのうち1人は死亡し、別の1人は重体と報じられている。この血栓は極めて稀な種類のものだが、ワクチンを接種した場合の発生率が接種しない場合に比べて3倍以上に達したという。

Gettyimages

血栓発生率は「100万人に1人」だが

米国ではこれまでに700万人以上がジョンソン&ジョンソン製のワクチンを接種した。単純計算では、血栓が生じる確率は「100万人に1人」より小さくなる。要するに、例外的と言っていいほど稀なケースだが、それでも大事をとって米国の規制当局は中断勧告を出したようだ。今後、1週間~10日間程度の検討を経て再度会議を催し、そこで接種の是非をめぐる最終的な決定を下す模様だ。

今回確認された血栓は、体内の血小板の減少から引き起こされる特殊な症状で、専門的には「venous thrombosis and thrombocytopenia(血小板減少による静脈血栓症)」と呼ばれる。これは、それより前に欧州諸国における英アストラゼネカ製ワクチンの接種で報告されたケースと同じで、一般の血栓症とは異なるものだ。

当初、EUの規制当局である欧州医薬品庁は「アストラゼネカ製ワクチンと血栓の因果関係は確認されなかった」と述べていた。が、その後ドイツやノルウェイなどの専門家の意見を容れて公式見解を改め、「ごく稀ではあるが、このワクチンは血栓を引き起こす可能性がある」とする旨を発表した。

Gettyimages

こうした経緯から、欧州では同ワクチンに対する信頼が失墜した。英YouGovの世論調査では、フランス人の61%、ドイツ人の55%、スペイン人の52%がアストラゼネカ製ワクチンを「安全ではない」と考えている。

それは実際の態度に表れている。スペインの首都マドリッドでは最近、アストラゼネカ製ワクチンの接種を予定していた人たちの3分の2が当日、接種会場に現れなかった。またフランスの一部地域では、自分の打つワクチンが同社製と判明した時点で予約をキャンセルする人が続出した。

一方、デンマーク政府は、アストラゼネカ製ワクチンの使用を停止し、今後は他のワクチンで接種計画を進めることを明らかにした。

 

こうした中、新たに米国でジョンソン&ジョンソン製ワクチンの安全性に疑義が寄せられたことは、ワクチン接種による集団免疫を目指す欧米諸国の新型コロナ対策に深刻なダメージを与えると見られている。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら
編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/