by Gettyimages

「ドルが紙くずになるかもしれない」時代に考えるべき、これからの金の価値

米国は金を本当に持っているのか?

アルケゴスは金融危機の序章か?

クレディ・スイスは4月13日、英国グリーンシル・キャピタル関連のサプライチェーン・ファイナンス・ファンド(SCFF)について、23億ドル(約2500億円)の融資が金銭面・訴訟面の不透明要因にさらされていると投資家に報告した。

クレディ・スイスと言えば、4月6日に、米ヘッジファンドとの取引(米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用失敗に伴う費用と見られる)で44億スイスフラン(約5200億円)の損失が生じると発表したばかりである。1週間余りの間に立て続けに巨額損失が表面化した。

また、アルケゴス関連の取引では、野村ホールディングスでも2200億円が「蒸発」したと伝えられるし、グリーンシルの経営破綻は、英国のキャメロン元首相を巻き込む大スキャンダルになりつつある。

これらを、それぞれの金融機関特有の問題とみなすこともできるが、どうもそうではないように思える。私が見る限り、サブプライム・ショックやリーマンショックのデジャヴである。

by Gettyimages

基本的には、「金融テクノロジー」という美辞麗句で、「空き箱」あるいは「ゴミが詰まった袋」に高値を付けて売りとばすスタイルのビジネスが横行していたということだ。

手練手管にたけたウォール街の金融機関ではなく、「美辞麗句」に騙された形で、日本や欧州の金融機関が被害を受けたことは象徴的だ。

昨年12月25日の記事「中国の学者が大暴露『米国は中国に支配されつつある』って本当?」で触れたように、習近平政権のブレインの1人で中国人民大学の国際関係学院副院長である翟東昇(てき・とうしょう)氏は「1992年のクリントン氏大統領当選以来、2016年のトランプ氏当選(ヒラリー・クリントン氏落選)まで『ウォール街の友人』を通じて良好な関係を築いてきた」と述べている。

つまりウォール街は、米国の政権中枢に極めて強い影響力を持っており、2007年のサブプライム・ショックや2008年のリーマンショックの時も、ウォール街寄りの政権であったため「(ウォール街の)火元責任」は厳しく追及されなかったと考えられる。

その「つけの先送り」が世界経済の最大のリスク要因になっていることは、4月6日の記事「コロナ対策バブルに浮かれるな、リーマンショックはまだ終わってない」で述べた。

1992年のクリントン氏大統領当選以来、ウォール街と米政権の二人三脚で築いてきた巨大な「砂上の楼閣」がいよいよ持ちこたえられなくなってきたという「兆候」がグリーンシルやアルケゴスの問題ではないだろうか?

 

もしそうであれば、おおよそ30年にわたって積み上げてきた「砂上の楼閣」が一気に倒壊する恐れもある。

そのような危機の予兆の中で人類の歴史とともに歩んできた「金」の価値について改めて考えてみたい。

編集部からのお知らせ!

関連記事