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厚生労働省の「デジタル化」はなぜ駄目なのか? その言葉を失う失態体質

数の大小も分からないのか!

コロナの感染情報収集に、まだファックスが使われているようだ。接触確認アプリCOCOAは、委託を見直した結果、委託先企業数が増えてしまった。マイナンバーカード利用拡大の重要な1つである健康保険証への活用は、開始直前の土壇場になって延期になってしまった。

菅政策の最重要課題である「デジタル化」について、なぜもこうも不具合が続くのか? 

まだファクス!!

「データドリブン」ということが言われる。新型コロナ対策でも、データこそ重要だ。適切な対策のためには、迅速なデータ収集が必要。そのためには、情報のデジタル化は不可欠だ。

ところが、日本では、2020年 5月末までは、コロナ感染情報の収集にファクスが使われていた。

感染者を確認した医療機関が、手書きの「発生届」作成する。それをファクスで管轄の保健所に送信する。保健所が記入漏れなどを確認し、個人情報を黒塗りにするなどして都道府県にファクスで転送する。

感染者が増えてくると、ファクスが混雑してつながらなかったり、ファクスが目詰まりするなどのトラブルが続発した。入力が追いつかず、積み残しが発生した。問い合わせで、保健所の電話が鳴りやまないといった事態になってしまった。

そこで、5月になって、新システムHER-SYS(ハーシス)が稼働した、タブレットなどで必要な情報を入力し、直ちに関係機関で情報を共有できるとされた。

HER-SYS操作マニュアル  厚生労働省HPより

だが、同年7月3日時点で、保健所を設置する155自治体のうち、43自治体(28%)がHER-SYSを利用していなかった。

東京都では、8月30日になっても、1200の医療機関のうち、HER-SYSに入力できる利用登録を済ませたのは、都立病院など7カ所しかなかった。

「HER-SYSの利用が遅れている」というこのニュースを聞いた時、原因は、HER-SYSに対応できない自治体側にあると私は思った。

しかし、責任はHER-SYSの側にあったようだ。入力すべき項目が1人あたり120もあるなど、使い勝手の悪い欠陥システムだから、自治体がそっぽを向いたというのだ。

なぜ120項目も入力しなければならないのか? スピードが要求される時は、項目が多ければよいというわけでない。

ところで、こうした不都合が報道されたのは、2020年の夏頃だった。この経緯は、本欄にも書いた。それから大分時間が経ち、状況は改善されたと思っていた。

ところが、2021年の4月に、「感染者情報 なお手入力」との報道があった(「コロナ、統治の弱点露呈 政治主導・デジタル・国と地方」日本経済新聞、2021年4月7日)。

大阪では、感染者の届け出の3分の1は、いまだに保健所でHER-SYSに代行入力しているというのだ。最初は120あった入力項目を40程度に減らしても、まだ使い勝手が悪いとの不満が残るからだという。

 

この間にコロナ感染の第3波があり、さらに第4波に襲われた。感染者数は、20年春頃に比べてずっと多くなっている。保健所は、他の業務と並行して、感染者1人あたり40項目もの記入をしなければならないわけだ。その負担は、察するに余りある。

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