金正恩が企む「戦力強化」…北朝鮮・ミサイル発射の裏にある“事情”を読み解く

発射意図よりも、時期がポイント
黒井 文太郎 プロフィール

軌道が低いと、迎撃するのは難しい。たとえば有事の際に朝鮮半島周辺に展開するはずの米軍イージス艦は、70kmより低高度を飛行する弾道ミサイルは迎撃できない。それでいて、休戦ライン(南北の国境)より下がった位置からも韓国全土を狙えるので、米韓側からすればかなり厄介な兵器といえる。

このKN-23改良型は1月のパレードで初登場し、KN-23のシステムを採用しつつ大型化していることが確認されたのだが、その時は「射程を伸ばして日本を狙うのではないか」との疑念もあった。しかし今回の発射後、北朝鮮は「朝鮮半島に存在する各種の軍事的脅威を抑止するうえで大きな意義を持つ」と発表しており、あくまで韓国・在韓米軍を狙うものであるようだ。

2019年7月31日、KN-23の発射を報じる韓国のテレビ番組[Photo by gettyimages]
 

驚くのは、北朝鮮がこの新型ミサイルの弾頭重量について、2.5tと発表したことだ。もともとKN-23のペイロードは500kg以下と推測されたが、今度の改良型は本当に2.5tかどうか不明ながら、かなりペイロードが大きくなったことはたしかだろう。

北朝鮮の核爆弾の重量は不明だが、他の弾道ミサイル開発経緯や核実験実績などから、1t弱程度ではないかと筆者は推測している。仮に実際はそれより多少重かったとしても、今回のKN-23改良型なら余裕で搭載できるだろう。つまり北朝鮮はこの新型ミサイルの登場によって、米イージス艦では迎撃できない低軌道をとる対韓国用の核ミサイルを手に入れたことになる。これは決定的に重要だ。

ただ、それにしても2.5tは大きく、本当だとすれば、単なる核爆弾搭載用だけでは説明がつかない。もしかしたら重いままで着弾して米韓軍の地下司令部を破壊することを狙っている可能性もある。ただ、北朝鮮は自分たちの軍事的な目標を言葉で宣言する傾向があるのだが、今のところは「敵の地下拠点を破壊する戦力を持った」などの文言はない。

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