2021.04.16
# 企業・経営

「3年でやめる若者」は相変わらず3割…それはオジサンが思うような「深刻な事態」なのか?

前川 孝雄 プロフィール

三つ目は、若者は上の世代と比べ、需給バランスとして売り手市場傾向のため、辞められると補充が難しいからだ。読者のなかには若者の早期離職傾向にも山谷があると思っていた人もいるかもしれない。それもそのはず。一般報道などでは、若者の早期離職が大きく取り上げられる時期と、取り上げられることが少ない時期があるからだ。

しかし実際のところ、先述のように、若者の早期離職傾向に大きな波はなく一定して高止まりし続けている。実感と実態のギャップの理由はシンプルで、企業の人材不足感・採用意欲が好況期で上がると注目度も高まり、不況期で下がると注目度も下がるというわけである。

コロナ禍の現在は後者の状態にあり、一部企業では将来不安から若手の離職も低下傾向にあるため、早期離職はあまり取沙汰されなくなっている。ただ、世界で最も少子高齢社会である現代日本では、景気の波に関わらず若者は希少な存在であるため、中長期視野で補充は難しくなる一方である。

 

魅力が薄れる「日本型雇用」

こうして企業が早期離職を問題視する理由を考えていくと、人材を企業内に囲い込む日本型雇用が前提条件となっていることが透けて見える。日本型雇用とは、アメリカの経営学者であるジェームズ・アベグレンが挙げた「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の三種の神器を特徴とするものである。ここにおける新卒採用とは、労使一体となる「会社村」を作りあげていくメンバーとして新入社員を迎え入れるということだ。日本には、就職はなく就社と言われる所以である。

しかし私が言うまでもなく、こうした日本型雇用は既に瓦解してきているし、時代の変化にも対応しづらくなってきている。そもそもジェームズ・アベグレンが分析したのは昭和の高度成長期を形作った一部の日本企業である。

平成を越えて令和の現代。人生100年時代ともなり、終身雇用を保障できる会社はどれだけあるだろうか。雇用者全体で4割、業種によっては大半が非正規雇用者に頼っている企業もあるなか、終身雇用を標榜できる企業は限られている。

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