「3年でやめる若者」は相変わらず3割…それはオジサンが思うような「深刻な事態」なのか?

前川 孝雄 プロフィール

この間、企業は指を加えて傍観していたわけではなく、ありとあらゆる離職防止・定着のための取り組みをしてきた。定着や引き留めのための「リテンションマネジメント」、さらには船や飛行機に新しく乗り込んできた乗客にサポートを行い慣れてもらうプロセスを指す「オン・ボーディング」という言葉も使われるようになった。

入社から定着までの支援を表す人事用語として派生し試行錯誤が続けられてきたかたちだ。平成半ばにリクナビの統括編集長を勤めた後、人材育成支援の(株)FeelWorksを立ち上げて14年目となる私のもとには、早期離職防止の相談が舞い込み続けて来たため、企業側の切実さも痛感している。

しかし繰り返すが、若者の早期離職傾向は減少しておらず、30%以上に高止まりしている。

「なぜ若者は辞めるのか?」「長く定着させるためにはどうすればいいのか?」…。

こうした経営者や人事の悩みに向き合う一方で、大学でキャリアデザイン論についての教鞭も執り続けて来た私は、そもそも若者の早期離職は本当に問題なのだろうかと考えるようになってきた。さらには、若者の早期離職=問題という固定観念から脱却しなければ、大切な若者を育て、組織成長を共に実現することも難しくなっていくのではないかとすら感じるようにもなっている。

〔PHOTO〕iStock
 

「早期離職」が問題視される3つの理由

そもそも、なぜ企業は若手社員の早期離職を問題視するのか。理由は3つある。一つ目は、企業の持続成長に向けて、その企業ならではのDNAを受け継ぎ進化させていくために他社の手垢がついていない無色透明な新卒採用者を重視するからだ。自社色に染めたいということだ。中途の即戦力・キャリア採用と新卒のポテンシャル採用では、選考基準はもちろん、担当部署も明確に分けられている場合も少なくない。

二つ目は、莫大な採用と育成投資の回収ができなくなるからだ。採用の2〜3年前から始まるインターンシップに始まり、採用広報・選考・内定・内定辞退防止・研修・OJT・ジョブローテーションなど、一人前のビジネスパーソンに育て上げるには、気の遠くなるような時間とコストと労力がかかる。企業にとって一人前になるまでは投資期間にあたるため、いよいよ投資回収、つまり戦力として活躍を期待するタイミングで早期離職されてしまうと、投資失敗ということになってしまう。

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