入居者がゴミの上を歩いて出てきた

緊急事態宣言以降、ゴミステーションにゴミが溢れるというトラブルが続出しました。家にいることが増え、日ごろできなかった断捨離をするようになり、飲食店がテイクアウトを始め、家でご飯を食べる機会が増えて、必然的にゴミの量は多くなりました。

ただ一方で、これはまだ正常な精神状態だからゴミを出せたということ。気持ちが誤作動を起こすと、ゴミをゴミステーションに持って行くということすらできなくなります。
こうして部屋の中にゴミが溜まってしまうということが起こるのです。 

ちょうど夏の盛り、私は家主の中山かおりさんから電話をもらいました。
「物件の入居者からクレーム受けちゃって。ちょっと相談してもいい?」
聞いてみると、住人の方が悪臭に困っているということでした。中山さんは一瞬事故物件ということが頭によぎったそうですが、幸い、今回は違いました。

「匂いの原因の部屋に、行ったのよ。ちょうど家賃も遅れ気味だったから。そうしたら、入居者がドアを開けたら室内がゴミでひどいことになってるのよ。でも入居者はゴミの上を歩きながら、悪いと思っていないのか、妙に反応が薄いのよ。これってどうしたらいいの?」

その入居者の部屋はどのようにしてひどいことになっていったのか…Photo by iStock
30歳で専業主婦から乳飲み子を抱えて離婚、シングルマザーとして6年にわたる極貧生活も送っていたという司法書士の太田垣章子さん。登記以外に家主側の訴訟代理人として延べ2500件以上の家賃滞納者の明け渡し訴訟手続きを受託してきた。トラブル解決の際は常に現場へ足を運び、賃借人にも寄り添って解決しており、家主からだけでなく滞納者からも慕われる異色の司法書士だ。

そんな太田垣さんが不動産の新型コロナの影響をリアルに伝える本が『不動産大異変 「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ新書)である。自殺者が過去最大となった日本、賃借人の自殺も増加した。そして在宅勤務で自宅に長くいるからこそのトラブルも続出。そのトラブルの一つが「ゴミ問題」である。本書より、それまで普通に自炊して生活してきた28歳の女性が、ゴミをかき分けないと歩けないゴミ屋敷にしてしまった背景を抜粋紹介する。
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女性の住むゴミ屋敷も増えてきた印象

私が賃貸のトラブルの訴訟手続きに携わるようになって 20年近くたちますが、以前はゴミ屋敷の案件はそれほど多くはありませんでした。特に増えてきた感があるのは、この5、6年でしょうか。家賃滞納をしている人の中で、部屋が汚いということはよくあるのですが、家賃を払っているけれど部屋がゴミ屋敷という案件も、年間 10件近く相談を受けるようになりました。そして時代とともに、女性の住むゴミ屋敷が増えてきた印象です。