コロナ禍で、演者としてとことんピュアになれた

撮影は昨年の夏。緊急事態宣言が解除された2ヶ月後にクランクインした。リハーサルのときはフェイスシールドやマスクをつけなければならず、相手役の表情が見えなかったりして、慣れない撮影環境に100人が100人右往左往したが、「かえって、ピュアになれた部分もあります」と菜々緒さん。

「世界中、誰もが同じ状況下に置かれて、同じ壁にぶつかって戸惑う中で、お仕事がある有り難みをこんなに感じたことはありません。暗いニュースばかりが伝えられる中、現場にいるときは、本当に楽しかった。映画がコメディなので、公開されたときに笑っているお客さんの顔を想像したり。『よーい、スタート』から『カット』までの時間に、そこにいる人たちの気持ちが一つになっている感じがすごくあって。いつも以上に、“今”を大事にしてお芝居に向き合うことができました。2020年の夏に、この作品に関われて幸せでした」

「バイプレイヤーズ」シリーズにドラマ当初から出演している田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん、遠藤憲一さんは、撮影中も休憩中も、他の出演者も巻き込んで、家族のような暖かい空気を生み出していたという。

©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会
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「4人のメインキャストが集まると、キャッキャするときもあれば、自然にまったりする時もあって。でも、本番では絶妙なセッション感があるんです。例えるなら? ……うーん、友達以上夫婦未満、みたいな(笑)。長いこと苦楽をともにしている感じがすごくあって、心を許しているのに、厳しさもあって。ああいうリラックスと緊張が両立させられる関係っていいなあって思いました。そこはすごく羨ましかったです。自分の未来に期待しない私も、いつかこんな風にいい刺激と癒しを与えられる俳優仲間ができたらなぁ……なんて、ちょっとだけ夢想してしまいました(笑)」

撮影/岸本絢