本来の私の立ち位置に近い役

若い頃から芝居の世界に憧れ、10代で多くのオーディションに落ちたり、同世代に人気で先を越されたりした俳優なら、20代あるいは30代でブレークしたときに、過去の葛藤は、いい陰影になる。でも、菜々緒さんのように、モデルとして芸能活動をスタートさせ、大学を卒業してから芝居の世界に足を踏み入れたような人は、確かに、陰影よりもむしろ力強さや明るさ、頼もしさが武器になって然るべきだ。

菜々緒さんのカッコ良さは、その“停滞しない感じ”にあるのかもしれない。西洋占星術では、2020年の12月から先の200年を、「風の時代」と呼んでいる。このタイミングで大きな価値観の変化があり、「所有」が美徳であった土の時代が終わり、モノを手放し、複数でシェアするような「風の時代」が到来したらしいが、菜々緒さんの生き方考え方は、まさに風の時代を先取りしている。

現在公開中の映画『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』で、菜々緒さんは自身初の“菜々緒”役を演じた。

©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会
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2017年にテレビ東京系列で放送された『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら』は、豪華なバイプレーヤーたちが実名で出演し、翌年以降もシリーズ化された。今年になって、100人を超える名脇役が共演する新シリーズのドラマが放送されたが、この映画はまさにその集大成。ドラマでは、富士山麓にある長閑な撮影所、ハリウッドならぬ「バイプレウッド」で、さまざまな連ドラチームによる戦いが巻き起こった。映画は、菜々緒さんを含む若手バイプレイヤーによる映画制作が難航する中、「バイプレウッド」の買収計画が持ち上がり……という内容だ。

「“バイプレイヤー”という設定ですが、登場する100人は全員が主役級。その中で、私は先輩である天海祐希さんを慕う役で、結構後輩感丸出しなキャラクターが新鮮でした。でも考えてみれば、映画に登場したプレイヤー100人のうち、私は1〜2を争うキャリアの少なさなので、ある意味、実際の私の立ち位置にすごく近い役だったかも(笑)。見ていただければわかるんですが、100人それぞれに見せ場があって、“バイプレイヤーズ”というタイトルでありながら、実際は、100人が全員主役のような内容になっています。全員が目標に向かって心を一つにしていく姿は、コロナ禍の今こそ、響くんじゃないかなと思います」

撮影/岸本絢