武蔵野美大の異色の研究者が取り組む「宇宙気候学」とは何か?

地球気候のカギは太陽が握っていた⁉
リケラボ プロフィール

太陽活動の記録と一致する地球の変化

——太陽活動の変化が、地球の気候に影響を与えた具体的な例を教えてください。

宮原 有名なのが1645~1715年に起きた「マウンダー極小期」です。17世紀に活躍した天文学者らの観測記録によれば、この時期には黒点がほとんど観測されず、太陽がまるでのっぺらぼうのようになっていました。一方でこの頃の地球は小氷期に入っていて、ロンドン中心部を流れるテムズ川は頻繁に凍っていました。

マウンダー極小期には、異常ともいえるほど太陽黒点が減少し、その期間が長く続いた

——約70年間も太陽活動が弱まっていたのですね。

宮原 マウンダー極小期の一つ前には、シュペーラー極小期(1416~1534年)がありました。こういった時代はおよそ200年に1度発生するということが分かってきています。マウンダー極小期の太陽活動を詳しく調べてみたところ、黒点はずっと減少したままになっているけれども、磁気活動は周期的に変化していました。ただし11年周期ではなく、約14年の周期でした。逆に太陽活動が活発な時期には、活動周期が9年ぐらいなることも明らかになっています。

——9年、11年、14年ときめ細かく分析されていますが、どうしてそこまでわかるのでしょうか。

宮原 例えば炭素の同位体である炭素14の量を手がかりに探ることができます。高エネルギーの宇宙線が地球に降り注ぐと、大気中で炭素14がつくられ、植物などに取り込まれます。つまり炭素14は、太陽活動のバロメーターとなるのです。太陽活動が活発になると、地球に飛んでくる宇宙線の量が減り、その結果、宇宙線によってつくられる炭素14の量も減る。

樹木の年輪に含まれる炭素14の量を丹念に調べると、1年ごとの炭素14の推移がわかります。私が解析に使ったのは、奈良県室生寺に生えていた樹齢約400年の一本杉や鹿児島の樹齢1800年の屋久杉から採取した試料でした。

宮原先生の研究室には、大きな年輪のサンプルが置かれている

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