火災や一酸化炭素中毒をどう防ぐ?「薪ストーブの安全学」教えます

「室内で火を焚く」不安を解消するには
三島 勇 プロフィール

「いい薪」が火災を防ぐ

約100社の事業者らの会員からなる一般社団法人「日本暖炉ストーブ協会」による事故防止活動の内容が、日本火災学会誌『火災』(Vol.69 No.6, 2019.12)の「防災コラム」に紹介されていた。

同協会はコラムの中で、使用開始後わずかな期間で薪ストーブ周囲から火災にいたるケースはほとんどないとしている。一方、使用開始から数年後以降に発生する火災事故が多く、その大部分は「低温炭化」が原因だという。壁や屋根の煙突貫通部などの施工処理の甘さから、経年による炭化を招いたとしている。

また、水分量の多い薪を使うことでクレオソートを煙突内部に付着させ、内部温度1000℃といわれる「煙道火災」を引き起こす要因となっていると指摘している。以前の記事で、「いい燃料」となる薪のポイントとして「十分に乾燥させて含有水分が20%以下であること」を紹介したが、煙道火災のリスクを低減させるうえでも、水分の少ない薪を使うことが重要なのだ。

【図】低温炭化と煙道火災
低温炭化と煙道火災が起こるしくみ。タールが溜まった煙道内部の温度は1000℃を超えることもある。また、100℃程度の低温でも長時間にわたって熱にさらされると炭化し、熱が蓄積して発火することがある (参考:環境省『木質バイオマスストーブ 環境ガイドブック』)

個人でできる防火対策

薪ストーブの設置は業者に任せる必要があるが、薪ストーブ所有者が個人としてできる防火対策には、どのようなものがあるのか。

群馬県長野原町北軽井沢で自然活用事業を展開する会社『きたもっく』の地域資源活用事業部で薪製造販売を担当する吉田浩二さんは、「煙道火災を防ぐには、まずはクレオソートを溜めないようにしてほしい」と、次のように注意を促す。

十分に乾燥した薪を使うことはもちろん、焚きはじめは細い薪を使って熾火をつくり、まず炉内を暖める。徐々に太い薪をくべていき、太い薪が不完全燃焼することを避ける。

また、薪を追加するときは、熾火が弱いと薪が燻(いぶ)されてしまうため、熾火の強さを確認する。さらに、焚きはじめや薪を追加するときは、燻さないように十分な空気が必要だ。薪を長く保たせようとするあまり、空気を絞りすぎてしまっても、不完全燃焼になってしまう。

【写真】乾燥した薪を使う十分に乾燥した薪を使うとともに、空気の量を調整することが大切だ photo by gettyimages

そのうえで吉田さんは、「安全性に配慮して設計された薪ストーブは、まず煙道火災によって自宅まで火事になることはない。乾燥した薪を適切に使用し、煙道内の熱を伝えない二重構造の煙突を設置し、こまめな煙突の掃除をしていれば、煙道火災は防ぐことができる」と強調する。

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