火災や一酸化炭素中毒をどう防ぐ?「薪ストーブの安全学」教えます

「室内で火を焚く」不安を解消するには
三島 勇 プロフィール

暖炉に起因する火災

軽井沢町に引っ越した後に知り合った人たちも、薪ストーブやその「先輩」である暖炉を原因とする火事が起こるのではないか、と少なからぬ心配をしているようだ(なかにはまったく気にしていないという「大人物」もいるが)。

年季の入った薪ストーブを置く喫茶店のマスターから聞いた話では、軽井沢町では毎年、暖炉や薪ストーブを火元とする火事が何件か起きている。10年以上前には、有名な小説家の住宅が暖炉の火災で全焼したこともあったと教えてくれた。

その話を聞いてすぐに、被害に遭った小説家は小池真理子さんではないかと思った。小池さんが火事で自宅を失ったというニュースを見た記憶が、うっすらと残っていたからだ。しかし、その原因が暖炉だとは知らなかった。

調べてみると、小池さんはエッセイ集『感傷的な午後の珈琲』(河出文庫)に「年が明け、二〇〇八年一月、信じられない出来事に見舞われた。軽井沢の自宅が、暖炉の煙道内からの出火で全焼してしまったのである」と書いていた。雑誌「小説現代」(2015年3月号)のロングインタビュー「私のなかを流れていったものたち」では、この火災の原因について「暖炉の煙突の構造の不備で起きた」とも話している。

「煙道火災」と「低温炭化」──薪ストーブ火災の2要因

薪ストーブは、暖炉から発展してきた。いずれにも煙突がある。煙突がないと、炎が立てられないからだ。小池さんが見舞われた災難は、いつ何時、私のような薪暖房器具所有者に襲いかかってこないとも限らない。

【写真】ストーブの煙突火を立てるためには煙突が必要だ photo by gettyimages

薪ストーブや暖炉の火災は、どのような頻度で発生し、何が原因となっているのか。

長野県に問い合わせたところ、火災統計の内訳に「薪ストーブ」という分類はないと教えられた。担当者は「地元の消防本部に聞けば、薪ストーブや暖炉による火災について、少しはわかるかもしれない」という。

長野県東部の軽井沢町など、2市5町4村を管轄とする佐久広域連合消防本部予防課の担当者は、次のように話してくれた。

管轄地域では、2020年に薪ストーブによる火災が4件発生した。このうち、軽井沢町は1件だった。年によってはこれよりも多いこともある。

火災の形態としては、煙突内に煤(すす)が溜まり、引火して起きる「煙道火災」と、木材などの可燃物が長い期間熱せられ、炭化して発火する「低温炭化」があったという。

同消防本部が公開している最新の火災統計では、2020年に管轄地域内で起きた建物火災は47件。建物火災に占める薪ストーブを要因とするものは9%だ。

「少なくはない」というところだろうか。

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