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東芝「車谷社長解任」は幻に終わった…!?買収騒動で提出されなかった「取締役会の議案」

周到な根回しがあったとすれば

「実は、あの日の東芝の取締役会には、取締役・代表執行役社長兼CEOの車谷暢昭氏の解任決議が諮られるはずだった」――。

4月7日朝、英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」から2兆円を超える資金を投じて買収するとの提案を受けたと経済紙に報じられ、車谷CEOは自宅とみられる建物の前で、テレビのインタビューに応じた。

にこやかな表情で、買収提案を受けた事実を認めたうえで、その扱いを「これから取締役会で検討する」と話したのである。この姿を見たのだろう。東京株式市場ではこの日、高値買い取りを期待した投資家の買い注文が殺到し、東芝株は制限値幅いっぱいのストップ高と急騰した。

しかし、当初から、この買収提案には、車谷CEOら経営陣が自己保身を狙って禁じ手に手を染めたのではないかとの指摘が存在した。

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そうした中で、筆者のもとに届いたのが、冒頭の驚くべき情報だ。東芝のコーポレートコミュニケーション部は筆者の確認取材に「取締役会の日程および内容については公表しておりません」としか回答していないが、実際のところ、車谷氏のガバナンスは、投資ファンドなどの大株主から信頼を失ったばかりか、東芝の指名委員会が同社幹部を対象に行った調査でも不信任が過半数に達したと報じられている。

任期中の解任という情報は噂の域を出ないが、次の株主総会にかかる取締役人事案で再任される可能性はほぼゼロだったと言わざるを得ない。

こうした中で、車谷氏の保身に動いたのが、CVCと経済産業省だ。東芝の永山治・取締役会議長が9日に公表したコメントによると、CVCの買収・株式非公開化の提案書は「初期的かつ法的拘束力のない」の生煮えのものだった。

ところが、関係筋によると、車谷氏の留任を求める文言はしっかり明記されていた。また、経済産業省は、車谷氏を留任させてCVCの提案を受け入れれば、障害になりかねないと懸念される外為法の事前審査にゴーサインを出すとの意向を東芝側に伝えたという。

つまり、身の危険を察知した車谷氏サイドが動きを封じるため、CVCと経済産業省に周到な根回しをしていた疑いと、今回の買収提案が、M&A(企業の合併・買収)の世界で禁じ手とされる「経営陣の自己保身」だった可能性は濃厚と言わざるを得ないだろう。

これらの疑惑を放置すれば、遅れているとされてきた日本企業のコーポレート・ガバナンスの出鱈目さを裏付ける案件として国際的に記憶されることにもなりかねない。

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