「春馬くんに決めていた」

土浦で西垣監督に、個別インタビューの機会をいただいた。監督は「知っているのは、10歳から12歳ぐらいの春馬くんだけだよ」としながらも、出会いから、撮影時のエピソード、いまの思いを語った。

ファンと撮影した西垣監督。春馬さんの「代役」でぬいぐるみが登壇 なかのかおり撮影
プロフィール(西垣吉春(にしがき・よしはる) 1947年、兵庫県篠山市生まれ。早稲田大卒業。東映京都撮影所入所。テレビ映画、教育映画を多数監督する。京都市在住
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西垣監督は、春馬さんが5歳から14歳まで通った地元の「つくばアクターズスタジオ」の試演会で、春馬さんと出会った。
「試演会は、春馬くんが小学3年生の後半ぐらいの時だったかな。会話はしていませんが、みずみずしくて、際立っていました。森の学校のマトは5年生の設定だったので、少し小さかった。制作準備に5年かかり、ちょうど春馬くんが5年生の時に撮影することになりました。早く資金が集まっていたら、春馬くんが採用されることはありませんでした。

5年生って一番、おもしろい時だと思います。声変わりする前で、芝居や台本への理解力が高まってくる時期ですしね。撮影は、春馬くんが5年生の2学期でした。夏休みにオーディションをしましたが、マト役は春馬くんに決めていました。彼に合わせて、弟や兄役、恋の相手役の背丈やイメージを決めました」

子供たちの中にカメラが入る

『森の学校』をスクリーンで見ると、春馬さんの演技力に驚かされる。やんちゃな笑顔だけでなく、病弱な自分へのもどかしさ、女の子と出会うドキドキ、祖母と別れる悲しみや後悔など、様々な感情を表現している。

「春馬くんの芝居は、達者ですよね。間の取り方がうまい。持って生まれた、天性のものでしょう。ほめすぎてもだめですが、叱ることはなかった。ものすごく素直な子で、お母さん役の神崎愛さん、お父さん役の篠田三郎さんと、自然と家族になっていました。ベテランの役者が、いっぱい引っ張ってくれました。

春馬くんは、待っている間も、ほかの子役と仲良く過ごしていました。教室の撮影では、春馬くんを中心にして、子供たちがいます。映らない場所、カメラの後ろにも子供がいる。子供たちが、自然に遊んでいる中にカメラが入っていくのです。

だから、子供たちの良さがそのまま出ています。いつも私と仕事しているスタッフなので、撮り方を心得ています。このやり方を知らないスタッフだったら、映らないからいいよと、子供たちをのけてしまったことでしょう。家の中の場面も、カメラが家庭の団らんに入っていくような形で撮影しました」

春馬さんがJUJUさんと出演していたNHKの番組「世界はほしいモノにあふれてる」で、春馬さんは自分のサインを、「付き人の男性と考えた」と語っていた。その村木勲さんは、付き人をしつつ、森の学校に出演していて、春馬さんに笑顔で付き添う写真もある。

「春馬くんにとって、村木さんは、お父さんであったり、お兄さんであったり、先輩であったと思います。芝居に関しては、頼りにしていたんじゃないですか。村木さんとは、大人同士、話しやすかったですよ。いい男だった」