「学費定額」はナンセンス

この奨学金には、授業料だけでなく、寮費、食費、保険料も含まれます。日本で地方から東京の大学に進学する、となると、授業料以外に家賃・食費などの生活費が非常にかかることを考えると、ハーバード大学への進学のほうが家計にやさしい、と言えるのではないでしょうか。もちろん、収入を証明するための資料を英語で用意することは必要となりますが。

これはハーバードに限らず、たとえばスタンフォード大学でも、「年収$150,000(1620万円)以下の家庭の学生は授業料無料」とウェブサイトに明記されています。アメリカ社会には、社会に貢献する人材は社会でサポートしよう、という考えがあるのです。

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学費は定額で、富裕層も貧困層も同じ学費を払う。奨学金をもらえたとしても多くは返済型のため、社会に出た瞬間多額の借金を背負ってしまう。そんな日本のシステムは、将来社会に大きく貢献する可能性のある学生が学ぶ機会を奪っている、と言わざるを得ません。

もちろん、たとえ学費が工面できたとしても、ハーバード入学が難関なのは間違いありません。2021年の入学者の受験合格率は3.43%。スポーツやアートなど何かの分野でプライズやアワードを獲得していたり、学業以外の活動でも目覚ましい活躍をしていたりする若者たちが、世界中から受験するからです。これまで何度も書いていますが、すべての教科がまんべんなくできたり、苦手をフォローするための塾に時間やお金を使ったりするより、得意を伸ばすために時間とお金を使ったほうがよい、と私が考えるのはこのためです。

2019年、地元大分の交響楽団との演奏のためステージに立つすみれさん。塾に行かずに公立校で「何もしていなかった」のではない。好きなヴァイオリンを全力でやるために、効率的に学び、好きなことをする時間を作り出してきた。それがコンサートのステージや講演に立ち、大学で教鞭を取るなどの今につながっている 写真提供/廣津留真理