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「あんな山奥まで?」読んで仰天、ラストバンカー西川善文の強烈な好奇心

タイムレスな言葉と教え『仕事と人生』

ラストバンカーが考える「仕事ができる人」

2020年はテレビドラマ『半沢直樹』で「バンカー」というセリフを何度も聞いた。しかも毎回サラッと口にされるのではなく、力一杯「バンカー!」というのだ(とくに「バ!」の発音の力みっぷりがすごかった)。おかげでバンカーに対して猛々しく気高いイメージを持ったし、「バンカーってこんな大変なお仕事をやってるのか。毎日大波乱じゃないか……」とクタクタにもなった。演出と演技の勝利だ。

ちょうど『半沢直樹』の最終回の頃に本書の『仕事と人生』の著者・西川善文氏が亡くなった。西川氏は元住友銀行の頭取で、安宅産業破綻やイトマン問題を処理し、90年代後半から2000年代にかけて不良債権処理を進めた人だ。金融に詳しくなくても「これは大変」と怯(ひる)む仕事ばかり。そして“ラストバンカー”と称される……というところまでは、私は知っていた。新聞で何度も取り上げられていたからだ。記者からの敬意が伝わる記事が今でもたくさん読める。

本書は2013年11月から2014年2月にかけておこなわれた西川氏へのインタビューをもとに、西川氏の「仕事」に対する考えがまとめられている。

仕事ができる人の資質とは何か。一つ挙げるとすれば「頭の中をきちんと整理整頓できる」ことが大事だと私は思う。(略)
頭の中が整理されていれば、仕事をどうやって進めればいいかを見極めることができる。当然、仕事は速いし、成果が挙がるわけである。
これまでにいろいろな人にお目にかかったけれども、頭の中が整理されている人かどうかは話しているうちにわかってくる。頭の中が整理されている人は何事もシンプルにしか語らない。

この本に並ぶ言葉たちも、削ぎ落とされたようにシンプルだ。「見たくない現実こそ直視する」という項でこんなことも語られる。

 
人間は安泰に安住する。その意味では、経営環境がよくなるということ自体にリスクがある。(略)大きなトラブルが進行していたり、経済の状況が大きく変化したりしていても気がつかない。(略)
そうなる危険性をあらかじめ読んでおき、対策を用意すべきだと私は思う。

ヒヤッとする人は大勢いるはず。だから、これから仕事を始める人、仕事を始めて長い人、誰かの上に立つ人、いろんな人にささる1冊だ。

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