マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

ペットボトルのキャップの使い道

ペットボトルのリサイクルをするとき、まず大切なのはラベルを可燃ごみにし、ボトルをリサイクルの箱に入れること。当然キャップは外して別にする。
ではこの外したペットボトルのキャップ、みなさんどうしているだろうか。

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これを捨てるときは可燃ごみや資源ごみなど自治体の指示によりに出すことになるが、「これなんとかならないの」と思う方も多いだろう。キャップを回収してリサイクルする業者もあり、自治体によっては回収ボックスがあるところもある。それがアフリカのワクチン代になるような仕組みも生まれた。ただ、その回収&リサイクルのための人件費もなかなか難しく、回収をしないことを決めた自治体もあるようだ。「キャップはどうしたらいいんだろう問題」は続いている。

実はこのキャップ、工作に使用して車のタイヤ代わりにするなどの使い方もあるが、調理器具として優秀な一面もある。たとえば魚のうろこ取り。魚のうろこは魚屋さんが取ってくれるかもしれないが、釣った魚を初めてさばくためにうろこ取りを購入するのはもったいない。そんなときにキャップが優秀なのである。

そして伊藤理佐さんの『おいおいピータン!!』2巻で出てくる例が、「ピーマンのヘタ取りに絶妙な厚さのキャップ」の話だ。

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「美味しく食べる」が共通するということ

おいおいピータン!!』とは、伊藤理佐さんによるオムニバスショート漫画「おいピータン!!」の新シリーズ。『おいピータン!!』から数えると20年以上続く人気連載で、食を通じて人生のあるあるを描いている。簡単に言ってしまうと、今回ご紹介するマンガの主人公・大森さんと渡辺さんの結婚前が「おいピータン!!」なのだが、二人だけではない様々な「主人公」が登場し、別の物語でもすれ違ったりするのがシリーズとして読む面白さの一つになっている。

大森さんと渡辺さんのカップルを見ていると、「美味しい」という基準が共通していることは、人が仲良くなる秘訣の一つだなと感じさせられる。それは単なる「味覚の好み」というだけではない。食事というのは味が美味しくても、環境が嫌だったら美味しいとは感じられないもの。つまり「美味しい」が共通しているというのは、どんなシチュエーションで食べることを嬉しいと感じるか、快適と感じるか、つまりは「何に幸せを見出すかが共通している」ことともいえるのだ。

大森さんはメガネのぽっちゃり汗かきさんなのだが、渡辺さんはめっちゃイケメンの仕事のできる男性から口説かれて、とても誠実に知的な会話をされても、大森さんとの会話で爆笑したことを思い出してしまう。つまり、美味しいと思うポイントが同じということは、生き方の価値観が同じということなのだ。

とはいえ、どんなに価値観の合うもの同士でも100%わかりあえることなんてないのが当たり前のこと。果たして大森さんが、渡辺さんが大切にしていたペットボトルのキャップを捨ててしまう物語は、「言わないとわからない」ことを表していると言える。しかし大切なのは、「やっちまった」後にどうするかで関係性が大きく変わっていくということだ。

使い勝手のいいものを捨てられちゃった…

キッチンできょろきょろしている渡辺さん。
「ここに置いといたペットボトルのフタ…ジャスミン茶のフタ…」
「わー、あれなんだった?」
「あーーーー、捨てちゃうよね…ピーマンのタネを取るのにちょうどいい薄さでさ…」

(c)伊藤理佐/講談社『おいおいピータン!!』2巻24話より

そう。同じペットボトルのフタでも、微妙に薄さが異なり、「キャップ投げ」という子どもの遊びでも(古くは牛乳瓶のキャップをメンコにした感じの現代バージョンのようなものだ)、「最適なキャップ」というのがあるという。それと同じように、同じキャップの中でもピーマンのヘタをクリっと抜くのに、厚すぎず薄すぎずいい感じにピーマンに入り込むもの。それを渡辺さんは大切にしていたのに、大森さんがゴミだと思って捨ててしまったのである。

また同じお茶を買えばいいじゃん、というだろうか。もしお茶の名前がキャップに書かれていなかったら、わからなかったら?(今回はジャスミン茶とわかっているようだけど……)

そうなったときにどういう反応をするのか。夫婦はそういう積み重ねで関係性を築いていくんだよなあと改めて感じさせられる。いや、夫婦だけではなく、誰とでも「やっちまった後」の態度や対応で、信頼関係や親しさは築かれていくのではないだろうか。

さて、あなたが捨てちゃった側だったら、どんな言葉をかけるだろうか。