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ブルガリアでの臓器移植を斡旋した業者の、無責任と非情

臓器売買とヤミ移植の実態・その2
臓器移植を受けたい患者たちにつけこんで、極めてグレーな海外での臓器移植の斡旋を行う組織がある。T大学ラグビー部のOコーチの「海外移植計画」にも、斡旋組織が深く関与していたが、この2つの組織には黒い噂が後を絶たず、昨年ブルガリアで移植手術を受けた患者2人は死亡してしまった。ジャーナリストの高橋幸春氏が、前回に続き「ヤミ移植」業者の実態に迫る。

第1回:苦しむ患者に忍び寄る、「ヤミ移植」斡旋業者の怪しい素顔を追って

実態は「臓器売買」

カザフスタン、トルコ、スリランカ、メキシコなどで移植が可能と宣伝する斡旋組織KTSM所属のFから、メキシコ、トルコ、ブルガリア、ウズベキスタンでの移植を斡旋する組織MTBUのNに、T大学ラグビー部Oコーチの渡航移植の話が伝えられた。

二つの斡旋組織はいずれも渡航国の頭文字を並べた仮名だが、都内に事務所を置いている。MTBUのHPには「今年で31年目を迎えました。」と記載されているように、渡航移植の「老舗」でもある。ところが現在は「調整中」となり「全ての業務を停止中です」というメッセージに変更された。いったい何が起きているのだろうか。

Fからの話を受けてMTBUのNが動いた。

「Oコーチ関係者とは一度お会いしました。それで、Oコーチに移植のための検査を受けてもらいました」(MTBUのN)

 

Nはその検査結果をメキシコに送り、さらに必要な検査データがあると、メキシコの病院から求められた。その再検査内容を翻訳し、Oコーチに送付している。その段階でOコーチの移植計画は止まったままだ。

「Fから話がきた時、募金を集めて移植をするということを知りませんでした。知っていれば、この計画には最初から関わりませんでした」(同)

MTBUは最初にコンサルティング料300万円の1割を収めさせ、現地受け入れ病院からOKの返事が入った段階で残金270万円を受け取るというシステムを取っている。渡航日程が決まると、現地での医療費や通訳、アテンド料などをすべてを振り込ませる。

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Fからきた話なので、OコーチからNは一銭も受け取っていないという。

「今後、Oコーチと契約するつもりもありません。募金であれば、当然、報告義務があります。海外渡航移植は真っ白というわけではありませんから」

斡旋組織のKTSMとMTBUは提携関係にあることは、Nも認めている。

「死んだKTSMの創設者から、渡航移植を希望する患者がいたときは、よろしくと頼まれていました」

金銭的余裕のある患者を海外へ

KTSMのうたい文句のように「善意の第三者からの臓器提供」で移植を実施してくれる病院の移植者待機リストに載せてもらっても、いつ移植ができるのかわからない。しかし、そうした患者の中で経済的に余力のあるものがMTBUに回される。

その中の一人が移植費用を募金で集めていたOコーチなのだ。

「えひめ移植者の会」FB上に「救う会」のHPをシェアしたFは、Oコーチの募金移植に説明を加えている。

「(移植は)いよいよ最終の調整に取り掛かっています。正式に決まりましたら、お伝えしたいと思います。この移植は現地国の国内法に則り、全く合法的に執り行われます」

「合法的」とはいっているが、実際にNが行う移植の方法はこうだ。

「善意の第三者」とはいうものの、自分の臓器を売るドナーが存在し、その臓器を購入するレシピエントがいる。しかし双方の間で金銭的な授受がなく、あくまでも「ドネーション(寄付)」で行われると証明する、公証人役場か、あるいは弁護士が作成した「宣誓書」を病院に提出する。

それを「正式」な書類として受理し、移植手術を行う病院があるのだ。実態はまさに臓器売買だ

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