50代・実家住みの娘2人が「外で働かない」…88歳の父親が抱える深刻な苦悩

これまで、甘やかしてきたが…
畠中 雅子 プロフィール

以上のような理由で、医師の長男に病院を継いでもらうのは難しい現実を考えると、早いうちに「廃業」という決断を下すしかありません。廃業の時期を先送りにしている中で、敏夫さんが大病を患ったり、万が一、急に亡くなったりしたら、それこそ大騒ぎになるからです。準備が整わないまま、いきなり病院を閉めざるを得ないという事態を招きかねません。

娘たちの「自立」が何より大事

病院を閉めるとなると、気になるのが今後の生活設計です。敏夫さんに現在所有している金融資産を伺ったところ、「6000万円くらい」とのこと。かなりの金額に思われるかもしれませんが、「個人病院の経営者」としては少なめに感じました。

これまで病院の修繕工事の費用や高額な医療機器の購入代金はここから出していて、かつては3億円以上あったのが、今や2割程度になったといいます。しかも孫たちの学費も負担しているため、現在も貯金は減り続けています。

踏み込んだことと理解しつつも、私は敏夫さん夫妻に次のように話しました。

「このままでは遅かれ早かれ、病院を閉めるしかなさそうです。そうだとしたら、娘さんたちには1日も早く、医療事務の資格を活かせる仕事を探すためにハローワークに通ったり、それ以外の資格取得を目指すなど、自分の力で稼ぐ準備を始めてもらう必要があります」

Photo by iStock
 

私の言葉を聞いた奥様の秀子さんは、不安な様子でした。娘さん2人を甘やかしてきてしまった自覚があるようで、「実家の病院以外で働いた経験がないのに、そんなことができるんでしょうか…?」と気が進まなさそうです。

しかし「できるか、できないか」ではなく、やるしかないと思われます。というのも、娘さんたちはすでに50代に入っているので、再就職の準備を先延ばしできるような時間的な余裕もありません。厳しい意見かもしれませんが、心を鬼にして自力で稼ぐように促すのが、敏夫さん夫妻に必要な「勇気」ではないでしょうか。

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